
発表は1970年ですが録音は60~64年、つまり
バディ・ガイのチェス初アルバムとなった『Left My Blues in San Francisco』よりも古いバディ・ガイのチェス録音集です。そういう事はまったく知らなかった若いころの僕でしたが、このジャケットにしびれて買ったんでした。
デビュー・アルバムより古い録音とはいえ、デビュー・アルバムにはないバディ・ガイのルーツが聴けるというわけでもなくて、この時点から同じような音楽をやっていました。
ブルースだけでなく、R&BもR&Rもやるバンドブルース、みたいな。ビートに合わせてメロディが裏から入る「Watch Yourself」なんて、思いっきりカッコいいR&Bでした。変わり種では、思いっきりマイルス・デイヴィスの「Freddie Freeloader」までやってました…詩をつけて、作曲者がバディ・ガイという事になってましたけど(^^;)。
とはいえ、本筋のスロー・ブルースの比率がたしかに高かったです(アルバムの6割ぐらい?)。さすが本職、スローブルースも良かったです。スローブルースでは間違いなく単旋律でチロチロとギターで合いの手を入れていましたが、「キュイーン」みたいなチョーキングが入って、スケベオヤジっぽくてエロカッコよかったです(^^;)。
マイナス面は、ホーンセクションがうまくない事と、ヴォーカルが僕の趣味にどうしてもあわない事でした。ホーンセクション、2管だしスコアも冴えないのでプレイヤーだけを責めるのは酷ですが、50~60年代あたりのR&Bやソウルに入っているホーン・セクションってたいがい下手ですよね…。これだったら入れないほうが良いと思っちゃうなあ。「I got a strange feelin’」ではブルースハープが入っていて、こっちは表現力抜群なので、ホーンセクションじゃなくてハーモニカにしておけばいいのに、と思ってしまいました。これはステージ上の音圧を稼ぎたいとか、ステージ栄えの問題なんでしょうか。
バディ・ガイのヴォーカル、叫ぶように歌うスタイル自体はカッコいいんですが、いかんせん声がかん高くて(^^;)>。なるほど、頭の中でヴォーカルをマディ・ウォーターズやサニー・ボーイ・ウィリアムソンに差し替えたら、文句なしにカッコよくなりました!ヴォーカルって大事だなあ。
なんだかんだ言って、聴いていてすごく楽しかったです。なんだろ、
聴いていると60年代初頭のシカゴで賃金労働している黒人になった気分、夜にバーやビリヤード場に寄ったような空気感というか。シカゴブルースはファーストフードや演歌と同じで、いい所はあるけど露骨な弱点もあれば似たもののキンタロー飴でどれも60~70点ぐらいと感じますが、一度ハマると次々に聴きたくなっちゃう魅力があります。
チャック・ベリーや
リトル・リチャード登場後のブラック・ミュージックは、ブルースもロックに寄せていったんだな、なんて思いました…あ、それがR&Bなのかも、いま初めて理解出来た気がしました!ブルース、R&B、R&R までをフォローした60年代初頭の黒人音楽を目の当たりにした感じで、とても楽しかったです。
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