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Category: アート・本・映画 etc. > 本(漫画・サブカル)   Tags: ---

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コミック『いつでも夢を』 原秀則

ItudemoYumewo HaraHidenori 恋愛漫画の大家である原秀則さんが1994~7年に書いたコミックです。僕的には、原さんの書いた漫画の中で好きなもののひとつです(^^)。漫画家が主人公なもんで、もしかしたら、原さん本人の実体験を書いたのかも。漫画を描くのが好きな高校生が、大学進学ではなく漫画家を目指し、アシスタントを務めながらマンガの勉強をし、挫折あり恋愛ありで最後に奇想天外な結末が…みたいな。

 この漫画、これから社会に出る学生が、仕事や人生に悪戦苦闘しし、恋愛に悩みながら、最後にある見解に至る…というビルドゥングス・ロマンなので、プロットは『SOMEDAY』や『部屋においでよ』と同じです。原さんはこのパターンの作品が多いのですが、原さん漫画の中でも『SOMEDAY』に並ぶ傑作と感じました。理由は、漫画家の世界の描写がリアルだから。
 専門分野を丁寧に掘り下げたマンガって、90年代以降に増えました。昔は、野球漫画でもなんでも、「マンガだな」という言葉があるぐらいに、作者の創造だけで描かれていたものが多かったです。気合が入っただけで球速がアップしちゃったり、楽器が急にうまくなっちゃったりね(^^;)。でも、90年代以降の漫画って取材がしっかりしてきて、掘り下げがリアルで素晴らしい漫画が増えました。音大を掘り下げた『のだめカンタービレ』とか、アイヌを掘り下げた『ゴールデンカムイ』とかね。この漫画もそういう専門分野の描写がりあるなもののひとつで、実によく出来たマンガでした。まあ、漫画かが漫画の世界を描くんだから、そりゃリアルになりますよね。。

 そして、恋愛を含めた、青年期の苦悩や喜びの描写が素晴らしかったです。恋愛ものを書かせたら原さんはさすが。これから社会に出るんだから、仕事に夢や理想があり、同時に日々の生活に恋愛もあれば将来への不安やらもあって。こういう、夢と現実の間で揺れる青年の青春が実によく描けていて、読んでいて他人事には思えませんでした。俺の青春と同じだ…みたいな。

 ただ、作者の原さんには悪い癖があって、話をドラマチックにするために、ひどくショッキングな出来事を大事な場面で仕掛けるんです。それが大げさ過ぎ、かつ筋が通らないもんで、「ん?」って違和感を覚えちゃうんですよね。この漫画でも、最後にそういう筋が通らないデフォルメがあって違和感を感じまくり。全体が素晴らしいだけに、オチだけが残念でした。

 全6巻、読み始めたら夢中で一気に読んでしまいました。それぐらい面白かったです。原秀則さんのマンガは好きなものが多いのですが、これもそのひとつです!

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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