
ビートたけし主演・監督のやくざ映画です。「馬鹿野郎」「この野郎」といった言葉がこれでもかというぐらい出てくるので、見終わった後に口汚くなること請け合いです。
僕はリアルタイムでは体験していないんですが、戦後の日本映画ってやくざ映画が大流行した時期があるそうです。高倉健さんの映画もある時期まではほとんど任侠ものだったし、勝新太郎さんの大ヒットシリーズ「座頭市」も時代こそ現代じゃないものの、ほぼやくざ映画。そして現代やくざ物となるとやっぱり
「仁義なき戦い」で、このシリーズは大ヒットして長期シリーズ化しました。僕は「仁義なき戦い」最初の5作品にえらくハマった事があって、だから他の現代やくざ物の映画もそれなりに観たんですが、「仁義」の最初の4作品は別格。良いと言われていた『仁義の墓場』ですら、『仁義なき戦い』5部作の前では全然でした。そんな中、このアウトレイジは…いや~
「仁義なき戦い」以降のやくざ映画で、はじめて面白いと思った映画でした! 面白いと感じたところはふたつ。ひとつは、暴力の映像表現です。ストーリーとは関係ないけど、感覚に訴えてくるんです!バイオレンス映画
『マッドマックス』やオカルト映画
『オーメン』に負けない素晴らしさでした。歯医者に押し入ってドリルで口の中をグッチャグチャにする、舌を出させた直後にアッパーをかまして舌を噛み切らせる、耳に菜箸を突っ込む、ロープを首に巻きつけたまま車を発進させる…などなど。誰だってそういう事をしたいわけでも見たいわけでもないと思うんですが、そのやり方のアイデアとショッキングなシーンで、映画に強烈なアクセントがつくのがいいんでしょうね。
もうひとつの良さは、喧嘩する事です。やくざ映画だから喧嘩するのは当たり前ですが、ふだん生きてると喧嘩ってなかなか出来ないじゃないですか。かなり理不尽な目にあっても喧嘩を避けて解決策を探すのが社会というもんです。明らかな巨悪があっても、そいつが国のトップで権力を持っていたりすると、あの手この手でぜんぜん裁かれなかったりして。そういうのを見ていると空しさや抑圧を感じるのもたしかで、でも実際に喧嘩したら負ける可能性だってあるわけで、理不尽な目にあってもなかなか文句も言えない喧嘩も出来ないのが現実というもの。
ところがこういう暴力映画は、そういう抑圧を正面からぶん殴りに行ってくれるので実に爽快!とんでもない請求を吹っかけてくるぼったくりバーのクソ生意気なお兄ちゃんを逆に追い込んだり、人に責任を押し付けて自分だけいい思いをしようとする上司をぶちコロすくだりなんかは、妙な爽快感があります。ざまみろ。
ブルースリーの映画も似たようなものを感じますが、抑圧を解消する道具としての映画、というのがあるのかも。
というわけで、「仁義なき戦い」以来、久々に面白いと感じたやくざ映画でしたよコノヤロ~!!
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