石川さゆりさんが日本の20世紀の名曲をカバーする企画ものシリーズの第5集です! アレンジは2曲が和田弘さん、1曲がスカパラ、残りはすべて宮川彬良さんでした。カバー集ってアレンジが重要なので、ここに期待!
と思ってたんですが、肝心の宮川彬良さんさんのアレンジがちょっと…。奇抜な事をしろというわけじゃないけど、アレンジの方針を決める詞や時代性を考慮できてないように感じて、つまらなかったです。小唄も取り上げてましたが、そういう遊女たちがいた時代考証とか、そういう音楽の何を聴かせるかとか、今の時代とのギャップに何を見せるかとか、それが聴こえてこない、みたいな。レトロな音楽集を新録で出すなら、そういう所こそ大事じゃないですか、それを音だけ取り出されてもなあ。
というわけで、アレンジよりも詞に魅せられたものが多かったです。
「南国土佐を後にして」なんて、坊さんが普通に街を歩いていて、クジラが実際に港から見えて、みたいな詩なんですが、捕鯨を実際にしてた時代を想像するだけで楽しくなってしまいました(^^)。
「夕焼けとんび」では、東京に働きに行ったお兄ちゃんを思って、自分の上を飛んでいるトンビの視点に立てば東京が見えるかなと思ったりして…兄弟がいっぱいいて、大人になったら集団就職していた時代なんですね。
「恋はやさし野辺の花よ」は、詞も曲も合わせていわずとしれた大名曲ですが、これって大正時代の曲なんですね。そして大正も20世紀なのか…そういえば『はいからさんが通る』でもこの曲って歌われていた気が。なるほど、女性の地位向上が詩にもあらわれていると感じました。
詞以外で感じたのは、こんな事でした。小唄端唄のたぐいは、選曲がベタすぎてダサい…。あと、やっぱり
市丸さんや
藤本二三吉とかの本物を聴いてきてしまったせいか、やっぱりこれはニセモノだな、みたいな。
男声コーラスの和田弘とマヒナスターズの絡んだムード歌謡な音楽は、良くも悪くも自分たちの得意をやったように聴こえました。
こういうエロい昭和ムード歌謡って、受験戦争に勝って役人や一流会社に入ったけど、女関係はてんでダメなオッサンたちに夢を見せるというだけの音楽だったんじゃないかと思ったりして(^^;)。そういう事を含めて、昭和にこういうおじさん文化があったと感じられたのは良かったです。
ジャワ民謡「ブンガワンソロ」は、選曲に唸らされました。そうか、ジャワって日本が植民地化した地か。それも20世紀の日本の歴史なんですね。自然崇拝的な多幸感にあふれた音楽だけに、逆に切なかったです。
というわけで、詞や選曲に良いと感じた部分もあったけど、総じて音楽がつまらないと感じてしまいました。わけてもアレンジがね。。第2集での前田憲男さんのアレンジは、どういう時代性を感じさせるかまで考え抜いたような素晴らしさだったのになあ。宮川彬良さんって僕あんまり好きじゃないんですよ、色々と薄っぺらく感じてしまって、それがヘアスタイルや顔にもあらわれてるな、みたいな。お父さんの宮川泰さんの
宇宙戦艦ヤマト組曲は素晴らしかったけどなあ。
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