fc2ブログ

心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > クラシック   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Milton Babbitt: All Set | Boston Modern Orchestra Project』

Milton Babbitt_All Set アメリカの現代音楽作曲家にしてトータル・セリーの走り、そしてピッチクラス・セット・セオリーで知られるバビットのCDです。2013年リリース、演奏はボストン・モダン・オーケストラというわけで(でもフルオケでの演奏は無かったかな?)、バビットのラージ・コンボぐらいのサイズまでのアコースティック音楽を聴く事が出来ました。いろんな時代の作品が収録されていましたが、僕の狙いはバビット初期作品の中で有名な「Composition for Twelve Instruments」でした。初期作品では、本当は「Composition for Four Instruments」を聴きたかったんですけど、現代音楽系の辞典にはよく出てくる曲なのに、録音に出会った事が無いんですよ。。ところが、狙っていた曲以外の曲に感動させられたのでした(^^)…まあ、世の中そんなもんですよね。本物のミュージシャンって、若い時の方が注目を集めたり世評が高かったりするけど、実際の音楽は晩年になるほど良いという事が往々にしてありますし。

 「Composition for Twelve Instruments」(1948) は、12音列技法を使っていたバビット初期作品の中で、「Composition for Four Instruments」と並んで名高い作品です。使われる楽器はフルートをはじめとした管が6、ハープ、チェレスタ、弦4。楽器がいっぱいあるので音色がカラフルな分だけ楽しめましたが、相当にアンチクライマックスな音楽なので、けっこう途中で飽きちゃった(^^;)。音列技法を使ったからと言ってそうなるとも限らないのですが、バビットの作品はアンチ・クライマックスな所がちょっと僕には合わないのかも。

 All Set」(1957)。え、なにこれ、ジャズ?そこまで無調にも感じないし、かといって現代音楽的な新しい響きや様式への挑戦は感じるし、メッチャかっこいいじゃん!これ、どういうシステムで書いたか分かりませんが各楽器が同じ音を3つ連続させる所からフレーズが始まる事、それがずれるので他の楽器が追いかけるように聴こえる事…こうなったら、和声面じゃなくて旋律面から調的なものを感じたとしてもおかしくないですね。同様に、打楽器が入る事で小節線やリズムが整理されたところも、僕程度の音楽能力しかない人にはわかりやすくなった理由かも。

 「Correspondences」(1967) は、弦オーケストラとシンセサイズド・テープのための音楽。最初の響きがむっちゃカッコいい…やっぱり魅力的なサウンドを創るには無調を無個性な方面に発展させてはダメで、伝統的な調音楽の枷を超えて拡張していく方向で使うべきなんじゃないかと感じました。同様に、生楽器の響きがやっぱり素晴らしかったです。これって無意識にも強弱や音色に表情をつけていくから、音が表現的なものになるからじゃないかと。バビットって、あまりに演奏が困難だから電子音楽に進んだけど、難しいスコアを演奏できるプレーヤーに出会ってからは生演奏に戻したって聞いた事がありますが、バビットさんだって音が豊かに響いてくれるんだったらそっちの方が嬉しかったんじゃないでしょうか。
ただし、やっぱり楽式的な展開していくようには聴こえずずっと同じ、みたいな所は僕的にはずっと聴いている意義を感じられなかったです。

 「Paraphrases」(1979)。10楽器を使ったアンサンブル作品です。これはタイトルが作曲意図をあらわしてますね(^^)。作曲年代が違いますが、これも「Correspondences」と同傾向の印象を覚えた曲で、響きが見事、でも展開が冗長に感じました。それにしてもバビットが創るこういう無調と調の中間ぐらいのゾクゾクする響きって、もしかして楽器ごとに配列の違う12音を指定して、その縦線を揃えていくつかの調的な響きを作ったんじゃないか?な~んて感じたんですが、実際にはどうなんでしょう。これ、スコア見てみたい…。

 「The Crowded Air」(1988)、こっちは11楽器を使ったアンサンブルで、「Paraphrases」に似た印象。これも素晴らしい響きに密な構造でしたが、短い曲だった事もあり、やっぱり時間軸上での展開が乏しいかな、みたいな。

 「From The Psalter」 (2002) 。ソプラノと弦楽アンサンブル(オケかも)のための作品でした。「Vision and prayer」が似たような音楽でしたが、もしかするとあれを上回ってるんじゃなかろうかというほどの素晴らしさ。

 正直に言うと、若い頃は刺激的と感じていた12音無調音楽も、いまは「またこれか、ある時代の現代音楽ってワンパターンすぎるよな」と感じ始めている自分がいます。それは現音系の電子音楽にも言えて、昔は刺激的な音と思っていたのが、今ではむしろ表現に乏しい音楽と思えたり。CRI 制作のCD『Milton Babbitt』の前半や、このCDの最初の曲あたりもそう感じてしまいました。ところがバビットの曲は後年になればなるほど調的なウェイティングも演奏面での表現もついてきて、とても素晴らしい響きを持った音楽になっていったと感じました。時間的展開に欠けるところはやっぱり僕の趣味ではないんですが…。
 それでだんだん分かってきた気がしたんですが、バビットって最初は数学の統計的な無調から始まったけど、音にウェイティングをかけることである意味での調的な感覚を曲に与えて活路を見出したんじゃなかろうかと思いました。僕が今までに聴いたバビットさんの音盤の中では、これは1~2を争う好みのCDでした。これともうひとつあげるとすれば…それはまた次回!

関連記事
スポンサーサイト




Comments

07 2022 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
検索フォーム
これまでの訪問者数
アド
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS