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Category: CD・レコード > クラシック   Tags: ---

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『Milton Babbitt: Piano Works | Robert Taub (p)』

Milton Babbitt_Piano Works_Robert Taub 1986年発表、ロバート・トープ演奏によるミルトン・バビットのピアノ作品集です。バビットにとってロバート・トープは特別な人。数学者でありかつトータル・セリーを用いて音楽を作っていたバビットの書く曲が簡単であるはずもないですが、それにしたって演奏不能レベルに難しかったもので、とうとうバビットは電子音楽で作曲する事に。でもバビットは決して電子音楽にしたくてしたわけではなかったようで、バビットの書く難解な曲を苦もなく演奏してしまうトープが出てきたことで、バビットは「おっしゃ!」と、またアコースティック楽器のための作曲に戻ってきたそうです。

 僕がこのCDを買ったのは、「ピアノのための3つの作品 Three compositions」(1947-8)が入っていたからでした。この曲、トータル・セリー登場の嚆矢となるぐらい重要な作品と言われてるんですが(だって1948年でトータルセリーですよ、すごくないですか?)、演奏が難しいからか、録音が全然きけなかったんです。それが録音されたもんだから、現音好きでピアノでもなんとか食べていければ…と思っていた僕みたいな人間が飛びつくのは当然。で、いざ買って聴いてみたら、弾けるどころか演奏の表現も見事で、まるで高橋アキさんの演奏のように正確無比&冷たくも鋭い表現、みたいな感じでゾクゾク。いや~作品の前に演奏にひれ伏してしまいました。すげえ。。

 でもってこのCDですが、作品発表順に9曲がずらっと並んでいました。凄いと思ったのはやっぱり演奏。たぶんスコアにも指定されていない方法で(というのは、僕はどの曲もスコアを見てないんですが、他のバビット作品の録音から察するに、たぶんスコアにそういう事は書かれてないだろうと思いました)、曲にデュナーミクや速度の変化をつけて、音楽的な起伏がつけられていたのです。こうした音楽的に優れた演奏のおかげで、妙に機械的でアンチクライマックスに感じていたバビットの曲が躍動して、感じ入ってしまいました。ぜんぜんスコア自体に触れていない感想で申し訳ないんですが、僕の感想は本当にこれ。

 シェーンベルクの「5つのピアノ曲」を見事に躍動させたのもグールドの演奏でしたし、難解一辺倒で硬質だった無調やセリーの音楽が、80年代ごろから音楽的に演奏されはじめ、音楽が躍動していったという歴史があるように感じます。バビットって、ともすれば「トータル・セリーの始まりを作った人」ぐらいの価値だけでかたをつけられそうな人な気がしますが、後半に進んで調的重力を感じさせる曲は実に素晴らしい響きだったし、さらに80年代以降の無調音楽を見事に音楽的に表現する演奏の中に入ると、なかなか素晴らしい音楽になっるんだと思いました。これもいいレコードでした!

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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