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『フォーレ:ピアノ作品全集 (1) ジャン・ユボー (pf)』

faure_piano works1_hubeau 歌曲と並んで、初期フォーレの代名詞となったのがピアノ曲。これはフォーレのピアノ曲をすべて収録した全集CDの第1集、2枚組です。演奏はジャン・ユボー。僕はこの人が演奏したフォーレのピアノ五重奏曲に感動した事がありまして、近代以降のフランス音楽の演奏では信用しまくっていたので、ユボーさんの演奏という事で迷わず購入しました。一般にそこまで知名度がある人じゃないかも知れませんが、フランス音楽のピアニストとしては名の知れた存在で、たしかヴェルサイユ音楽院やパリ国立音楽院でも長く指導していたはずです。

 ・夜想曲 第1番~13番
 ・主題と変奏 嬰ハ短調 op.73
 ・即興曲 全5曲
 ・3つの無言歌 op.17

 「夜想曲」第1番~13番。夜想曲は、ロマン派のピアノ音楽のひとつのジャンルになってますが、フォーレ作品も、いかにもロマン派夜想曲の伝統の上にある曲と感じました。特に初期がそうで、1番や2番は、ショパンの曲と言われても納得してしまいそう。ほとんどの曲がABA3部形式でした。
 個人的な好みは10番以降で、特に10番と12番は素晴らしかったです。10番ホ短調op.99は、メンタルではロマン派的(劇的構成という意味です)で、転調しながらずり上がっていく和声進行がベースにあって、そこに対位法的な絡みがあったりして、クライマックスに達するという、感覚的にも構成的にも見事な作品でした。12番ホ短調op.107は華麗で情熱的でありながらも、ショパンやリストのような即興性はあまり感じずに緻密な所がフォーレだなと思いました。
 13番は有名な曲で、対位法もロマン派も印象派も混ざって、しかも激しく情熱的な曲でもありますが、これはユボーさんが弾き切れていないかな…演奏する方じゃないと好き勝手言えてしまうのは良くないですね、ごめんなさい。構造面ではツィマーマンぐらいスッキリ、クライマックスではアルゲリッチぐらいまでいったらこの曲って完成できるんだろうな、と思っちゃっただけで、これも素晴らしい演奏だと思います。僕の中で13番は消化しきれていない曲で、もうちょっと真面目に聴くか、初見でのアナリーゼ能力がないと捉えきれないかも。もうちょっと齢をとったらもう一度聴き直したい曲です。

 「主題と変奏」は、フォーレ唯一の変奏曲で、11の変奏で構成されています。主題自体はバッハっぽく感じましたが、変奏に入って行くとシューマンっぽかったです。
 「即興曲」全5曲。なるほど即興っぽい(^^)。というのは、軽快なテンポでスケールをパラパラと弾いて、主題を中心にABAの構成にしていく、という感じだから。
 「3つの無言歌」op.17。可愛らしく簡潔なピアノ曲で、3曲とも実在の女性に捧げられてるそうです。初期作品だけに、シンプルなロマン派緒のピアノ曲という感じでした。

 若い頃、フォーレはラヴェルやドビュッシー登場前のフランス作曲家という認識で、「レクイエム」は好きだったけど、あとはちょっとドイツ初期ロマン派のエピゴーネンっぽくて苦手だったんです。今は昔ほどロマン派への苦手意識がなくなったという事もあるし、こうやって作品を聴くと、実際にはもっといろんな様式が自在に混じりあっていて、むしろ当時いい音楽を作ろうと思ったら、こういうスタイルが自然なのかもと思いました。でもこのCDでも晩年の作である夜想曲の10~13番が好みだったので、全音階や半音階や印象派っぽい和声が混じってくる後期の方が僕は好きなんだなあ、な~んて思ったりして(^^)。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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