『Mal Waldron / Left Alone』

MalWaldron_LeftAlone.jpg 黒人ジャズ・ピアニストであるマル・ウォルドロンの出世作です。わざわざ「黒人」と書いたのには意味があるのですが、それはとりあえず置いておいて…。もし、「マル・ウォルドロンのレコードを1枚だけ持ってる」という人がいたら、90%の人はこれを持ってるんじゃないかというぐらいに有名。何が有名って、アルバムタイトルにもなった「レフト・アローン」が有名すぎます。でもこれ、日本でだけやけに有名という話しを聞いたことがあるのですが、実際はどうなんでしょうね?で、僕もこの曲が好きすぎて、今までに何回聴いたか分からないぐらいに、聴いています。

 で、先ほど書いた「黒人」という部分ですが…この人のピアノって、ものすごく重いんです。少なくとも、技術披露的なテクニカルなジャズではない。音は遅れるし、タッチは強い。僕的には、「ジャズ」というよりも「ブルース」を聴いているような気分。そういう意味でいうと、オシャレなジャズピアノなんかを期待するなら手を出してはいけないシロモノ。で、ですね…この重さが、噛みしめるように音を出しているみたいで、すごくグッとくるのです。そしてそれが、マイナー調のタイトル曲に異常にフィットする。この曇り空のような独特の情感…これって、このピアニスト以外の演奏では味わった事がありません。同じような、引きずるような感覚を、2曲目"Cat Walk"でも味わうことが出来ます。これも素晴らしい。独特な歌い回しとダークな色彩感覚。これは唯一無比の表現でしょう!

 このレコードは、他にもいろいろな物語がついていて…たとえば、ウォルドロンが、ビリー・ホリデイ死の直前の最後のピアノ伴奏者というパートナーであったとか、そのホリデイがレフト・アローンを好んで歌ったとか、そのホリデイ自身が本当に「一人で行ってしまった」とか…。このLPのジャケットにも、うしろにうっすらとビリー・ホリデイが写っているのはそういう事をあらわしているんじゃないかと。そういうものが全て重なった、奇跡的な1枚なんじゃないかと。エンターテイメントから離れたところにある「ソウル音楽」としてのジャズ、そんな風に思っています。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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