『中島みゆき / The Best』

NakajimaMiyuki_Best.jpg で、中学生ぐらいになってから、はじめて自分で買った中島みゆきさんのアルバムが、これ。ベスト盤で、当時の中島みゆきさんのシングルを片っ端から収録したという感じの作りだったんじゃないかと思います。当時はCDが出始めで、LPからCDへの過渡期。音楽好きの友人仲間の間でも、CDプレイヤーを持っていない人の方がまだ多いぐらいの頃でした。僕もようやくCDプレイヤーを手に入れた段階で(単独のCDプレイヤーを買って、ラジカセのラインインにつないで聴いていた!!)、そんなわけで僕が最初期にかったCDの1枚、という思い出もあります。しかし…

 中島みゆきさんの詞の世界観がどうにも合いませんでした。失恋とか憂鬱とか女心とか…なんというか、文学女子タイプの人ための歌なのかも知れません。これに関しては、すでに買っていた中島みゆきさんの歌詞集で、なんとなく分かっていたハズなのですが…。この点に関しては、中島みゆきさんがどうとかいうよりも、それを受け取る僕側の嗜好の問題が大きいんでしょうね。僕は、日本の一部の純粋詩や文学というのも馴染めないことが多くて、あおの「じめじめ」を良しとするセンス自体が好きじゃない。しかし日本のジットリ系の現代詩や感傷系フォークミュージックというのは、それでひとつのジャンルを形成するぐらいにものすごくたくさんの人から支持されているみたいなので…やっぱりこれは嗜好の問題なんでしょうね。
 それでもなぜ中島みゆきさんのCDを買ったのかというと、やっぱり「悪女」が素晴らしすぎて、詞ではなく音楽に期待していた。で、その音楽はというと…いやあ、これもダメだった。少ない小遣いの中から、かなり「聞いてみたいリスト」の上位にあった音楽なので、当時は「どうやって聴けばこれを良く思えるだろうか」と努力したほどなのですが(^^;)…。今考えるに、一番の悪因は、カレッジフォークみたいな音楽を無理やりポピュラー編成にアレンジするものだから、すごく「取ってつけた感」があったんじゃないかと。実際、今聴いても、そこが最初に耳についてしまう。これならいっそのことフォークギターだけか、せいぜいウッドベースとヴァイオリンの追加ぐらいに留めれば、作品の比重を「言葉」に大きく片寄せる事が出来て、よほどカッコ良く出来たんじゃなかろうか。しかしアレンジャーさんの苦労も少しは分かる。少なくともこのベスト盤が発表された辺りまでの中島さんの作品って、やっぱり詞が先行に聴こえます。音楽は後付けで、いわんやアレンジなんて…。というわけで、音楽への弊害は色々とあるのですが、例えば音韻の数。ひとつのメロディラインに言葉を押し込み過ぎていて、これをメロディラインとして音楽の中で生かし切るのが非常に難しい。例えば、「道に倒れて誰かの名を呼び続けた事がありますか」これが4小節の間に押し込まれる(しかし、何気なく取り上げたこの一説ですら湿っぽいというか、やっぱり詞の内容が好きじゃないなあ…)。一拍ごとに区切れば「みちにた/おれてだ/れかのな/を…」という感じ。いやあ、これは言葉自体までぶつ切りになってしまい(アウフタクトなので、活字に見えるほど聞きづらくなるわけではないのですが)、こうなるなら詞を優先して、伴奏なんてシンプルにするほど良いんではないかい?と思ってしまう。逆に、これが英語詞で一音節に一単語ぐらいぎっちる詰めたら、逆に物語が濃密になって、ブロードサイド・バラッドのような成立の仕方が出来たかもしれない。要するに、日本語詞を英語ポピュラーの方に嵌める際に起こるシラブル処理の問題をもろに受けちゃっている感じがするのです。しかも、これにつけているオケが「ズンチャッ・ズンチャッ~」では…これを好きになれなかった中学時代の僕のセンスも、理解できる。

 結局、僕にとっては合わなかったんですが、しかしデビュー以来、流行り廃りの激しい流行歌の世界で何十年も現役でい続けているのですから、多くの人に愛されている音楽なんでしょうね。「恋や人生にリアルタイムで真剣に悩んでいる女性」なら、もしかしたらものすごく解る世界観なのかも知れない、なんて想像しています。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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