
クラウス・シュルツ怒涛のドラミングが冴えわたったジャーマン・プログレ屈指の名作のアシュラのファーストですが、しかしシュルツさんはファースト制作後にアシュラを脱退したようで、2作目には既にクレジットなし(T-T)。で、アシュラはどういう音楽になったかというと、あのハードすぎるサイケみたいな作風とは全然違った、当時新しかったであろうシンセのフワーッとした音とギターのディレイあたりをメインにした瞑想音楽みたいなものを作り始めました(^^;)。こういう「シンセによる瞑想音楽」というのも、実はジャーマン・プログレのもう一方の側面という感じなのですが、これはこれで妙に聴き入ってしまう…のですが、キンタロー飴といえばキンタロー飴なので、僕はファースト以降のアシュラのアルバムをみんな手放してしまった…このレコードを除いては。というのは、ゲスト扱いではありますが、この作品でシュルツさんが帰ってきているのです(^^)。。
アシュラの4作目になるこのアルバムはA面1曲、B面1曲という構成で、A面がファーストの記事で書いたような音楽、B面がその「シンセ&エフェクティブなギターによる瞑想音楽」という構成。つまり、アシュラの2面性が1枚のアルバムでどちらも楽しめるという美味しいアルバムであるわけです(^^)。
当然僕は1曲目のシュルツのプレイ目当てにこのアルバムを売らずに取っておいている…かと思いきや、まったく逆。1曲目の、例のドロドロ系サイケデリックなセッションもやはりヤバい感じが残っていていいのですが、ファーストに比べたらちょっと物足りない感じだし、持ち上げて「いい!」というものでもない気がするのです。そうではなくて、2曲目です。シンセとやたらと深くりヴァーブをかけたギターによる、ほとんどツーコード(短調を主張に、半音進行の往復横跳び!)のリピート状態である2曲目が素晴らしい。これ、ほとんど教会音楽だろう…というような感じで、聴いていて宗教的な感動のようなものを覚えてしまいます(危ないなあ、僕も^^;)。アシュラはファーストアルバムのイントロ部分で、まったく同じ和声進行を使っていますが、そこだけを24分間もぶっ通してひとつの瞑想音楽を作ってしまったような感じです。で、音楽の合間合間に、子供のような女性の声で、ポツリポツリと何か祈りのようなセリフが囁かれる。12分にも渡って鳴り響いていた木霊のような音のギターが抜け、シンセによるミサ曲のようなシンプルなマイナーの3和音だけが残された瞬間などは、ちょっとゾクッと来てしまう。もし仮に僕が新興宗教を立ち上げるとしたら、瞑想室にはこの音楽を流しておくだろうな。きっと何人かは強烈な宗教体験に見舞われるはず( ̄ー ̄)。
う~ん、これもアシュラ、音によるドラッグ体験に限りなく近い所に存在するジャーマン・プログレの本質をあらわした1枚と思います。
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