『Carmen McRae / The Great American Songbook』

CarmenMcRae_GreatAmerican.jpg ジャズ・ヴォーカルのベスト10には絶対に入るだろうカーメン・マクレエ、その代表作の1枚です。スタジオ録音ではなくってクラブでのライブ録音なんですが、これが素晴らしい!!お客さんの笑い声や拍手の感じから判断すると、小さなクラブでの演奏だと思うんですが、ムードがいい、録音もよい、演奏も素晴らしい!!

 タイトル通り、スタンダードやジャズ曲を含めた「アメリカン・ソング」がこれでもかとばかりに歌われます。サテン・ドール、イースト・オブ・ザ・サン、アイ・クライド・フォーユー、ボディ・アンド・ソウル…いやあ、聴き始めたら最後、ため息ついて聞き惚れてしまう…。"Easy Living"なんて、このアルバムで初めて知った曲だったのですが、こんなにいい曲があるのかと驚いてしまいました。 

 そして、カーメン・マクレエ。「ジャズ・ヴォーカルではアニタ・オデイが一番好き」と書いた事があります。それは今でも変わらないんですが、しかし歌唱力という点から言うと、カーメン・マクレエさんはアニタさんをはるかに凌ぐ歌唱力の持ち主だと思います。うますぎる。しかしそれがもろ刃の剣で、カーメンさんって、歌がうますぎて、もって行くところで声を張って圧倒して持って行ってしまうんですが、時としてそういったエンターテイナー性ばかりに走ってしまう時もあります。しかしこのライブでは、お客さんと会話しながら、聞かせどころでしっとりと表情をつけて歌うのが素晴らしい。自分の歌唱力の誇示よりも、歌を表現する事が優先されているんですよね。これが絶品、道具が正しく使われた時の破壊力ったらありゃしません。ほれぼれしてしまう…。

 また、歌の伴奏が小編成であるところが好きです。ギター、ピアノ、ウッドベース、ドラムのカルテット。ブラスバンドを入れてドッカンドッカン来る歌伴も時として悪くないですが、しかし伴奏が派手すぎると、ジャズヴォーカルの見せどころのひとつである「メロディの後のヴィブラートのコントロールの妙」が消されちゃうんですよねえ。特に、マクレエさんは、メロディが終わった後からの声の伸び方、ヴィブラートのコントロール、最後の息の抜き方が凄くって、このパフォーマンスだとこれらが全部きれいに聞こえる。それを見事に描き出した原因は、恐らくバンドマスターと思われるジョー・パスのギターなんじゃないかと思います。ジョー・パスという人はジャズギターの最高峰のひとりですが、残念なのは音に無頓着であること。名盤扱いのギター独奏のレコードなんか、ラインで録ったんだじゃなかろうかというぐらいに細い音で、音がしょぼすぎて聴けたものじゃありませんでした(T-T)。しかしこのライブでのジョー・パスのギターの音といったら、美しすぎる。ワイングラスを叩いているんじゃないかというぐらいに澄んでいて、夜鳥が鳴いているんじゃないかというぐらいにあったかい。そして、歌の合間を縫って、必要最小限にカウンターラインを入れてくるんですが…いやあ、これだけ隙間を作っておきながら、なんだこの説得力は!!ここまで音を省いて、しかしリズムを失わないでメロディを和声をまとめ上げるというのは並大抵じゃないだろ…僕的には、どのジョー・パスさんのリーダーアルバムよりも、このアルバムでのジョーパスが、彼のベストパフォーマンスだと思っています。特に、小節を倍に増やしてアレンジした"The Days of Wine and Roses"のスペースを広く残しながら歌を飾っていくギター、鳥肌モノです。

 僕が持っているのは「完全版」という2枚組のCD。アナログの頃は、1枚ずつ別売されていた模様。しかし、「2枚目はオマケみたいなもの」なんて生易しいものではなく、どちらも捨てがたい素晴らしさ!!というわけで、個人的にはまとめて「完全版」を買うのをおススメします(o^ー^o)。女性ジャズ・ヴォーカル好きなら、絶対のマストアイテムです!!


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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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