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Category: CD・レコード > ロック・ポップス   Tags: ---

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『BEN E. KING / Don't Play That Song』

BenEKing_DontPlay.jpg 黒人コーラス・グループであるドリフターズのリード・ヴォーカリストだったベン・E・キングが一本立ちしてから3枚目となったアルバムです。1962年発表なので、ビートルズのデビュー直前というぐらいのタイミングですね。このアルバム、なんといっても「スタンド・バイ・ミー」で有名だと思います。ご多分に漏れず、僕も若い頃にスタンド・バイ・ミー目的で買いました(^^)。

 "Stand by Me"があまりに有名すぎるので、ベン・E・キングはピンのイメージがありますが、まずは彼の在籍していたドリフターズが素晴らしい!昔の黒人コーラス・グループというと、お金がないので歌だけでハーモニーを作り出して、路上で3コースや4コースのコーラスを作り出して歌っていた「ドゥ・ワップ」をやっていた集団からプロ化したものがいくつか出てきた…というイメージがあります。戦後アメリカの市民労働者の路上コーラスというと、僕は真っ先に映画「ロッキー」の冒頭のコーラスを思い浮かべてしまいますが、実際にはあの30~40年前ぐらいのハーレム版の文化がど真ん中という感じなんでしょうね。で、ドリフターズはそうしたグループの中の上位ランカーですが、そこでリードヴォーカルを取っていたベン・E・キングは、まさにコーラスグループのリードヴォーカルにうってつけな声の持ち主だったんじゃないかと。例えば、ドリフターズには「ラストダンスは私に」というヒット曲があるんですが、 ここでヴォーカルは、立ってもいるし、ハーモニーに溶け込んでもいる。出しゃばりすぎず、埋もれ過ぎずという絶妙のところを行くんですよね。これがフォー・トップスやサム・クックあたりだと混ざりすぎる感じがあって、逆にジャクソン・ファイブになるとリード・ヴォーカルが浮きすぎる。こんなにコーラス・グルーブ向きのヴォーカリストがピンになったら、逆に大人しすぎてどうなのかな…とも思ったんですが、「スタンド・バイ・ミー」でヴォーカルがハーモニーするのは、人の声だけでなく、ストリングスともハーモニーします。結局、ベン・E・キングという人は、このハーモニー的な視点が個性であって、だからアトランティック・レコードのソウル系のレコードだと思って、オーティス・レディングやリトル・リチャードのようなシャウト系のソウル・ミュージックを期待すると、痛い目にあいます。絶対にシャウトしてぶっ飛ばしたりはしません。常に丁寧。だから、超ハードロックなレッド・ツェッペリンの"We're Gonna Groove"がベン・E・キングの曲だと知った時にはビビりました(^^;)。しかしこの「ハーモニー至上主義」なキャラが本作のコンセプトと絶妙にマッチしていて、リズム隊も完全に抑え目、あの印象的なベースも、ウッドベースを指で弾いての非常に柔らかい音。リズムではなく、ハーモニーの心地よさを前面に押し出したオーケストレーションを目指しています。いやあ、これは気持ちいい…。
 スタンド・バイ・ミーのあの美しいストリングスって、全部右チャンネルから聞こえるんですよね…。で、ウッドベースやピアノやギターといったリズムセクションは、プレスリーの時代以来変わっていないというか、メロコード譜だけを渡されて一発で演奏しているような感じなんですが、このストリングスと男声ハーモニーは綺麗にアレンジされている。これはアルバムを通して言える事ですが、"stand by me"を例に挙げると、ハーモニーは2コーラス目まで溜めてから出てきて、以降はストリングスと男声コーラスは互いを補うようにアレンジされている。この曲で一番印象に残るだろうベースのリフレインと、それをベースにメインとなる主旋律があり、これを彩るようにストリングスが出てきて、これを受けて男声コーラスが出てストリングスが背景に回る。そしてストリングスのメロ・パートがいよいよ登場、ここで男声コーラスは背景に回り…要するに、ストリングスとハーモニーが入れ子細工なんですよね。このふたつがフィギュアスケートのようにハーモニーと構造を作っていく。ここの計算されたアレンジが良かったんじゃないかと。

 間違いなくフォード式のポピュラー音楽大量生産システムから生まれた音楽であるとは思うのですが、しかしそのシステムは悪いところばかりではなくって、手作りの傷を消すという良い面もある。そうして作られた数多くの作品の中から生まれた奇跡の名作が、「スタンド・バイ・ミー」だったんじゃないかと。元は路上から生まれたコーラス音楽、しかしそれがラジオ向けの商業音楽の生産ラインに乗り…つまり、アメリカの市民音楽と商業音楽の間に花開いた名作なんじゃないかと思います。このロマンティックな詞と響きを聴きながら、当時のアメリカの若いカップルがうっとりしていたんだろうな…と思うと、それも微笑ましい光景だし、ちょっとうらやましくなるような独特の文化だったんだろうな…。。あ、そうそう、アルバム冒頭曲"Don't Play That Song"のベースパターンが"Stand by Me"とまったく同じ。「お、スタンド・バイ・ミーだ!!」と大騒ぎしていたら違う曲で、みんなで大爆笑した中学生の日は、今となってはいい思い出です(^^)。。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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