心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > ロック・ポップス   Tags: ---

Response: Comment: 4  Trackback: 0  

『Black Sabbath / Master of Reality』

BlackSabbath_Masterof.jpg 英ハード・ロック黎明期の名バンドであるブラック・サバスのサード・アルバムです。僕は初期ブラックサバスの中では「vol.4」がダントツで好きなんですが、昔に書いたそのレビューの中で、「『マスター・オブ・リアリティ』はつまらなすぎて駄目だった」なんて書きました。若い頃は本気でそう思ったんです。しかしこのアルバム、人によっては「ブラック・サバス最高傑作!」な~んていう人もいます。そういう人は、本当にそう思っているのだと思うのですよ。だから、僕には分からないけど、人によってはすごく良いと思っている場所があるんじゃないかと。で、久々に聴いてみたら…あ、意外といいかも(^^;)。いやあ、自分の感性のいい加減さに呆れるばかりです。。ただ、なんというか…自分が何を良いと感じて、何をつまらないと感じたのか、ちょっと分かった気がしました。

 前作『パラノイド』との比較で言うと、曲作りのやり方が更に確立されたというか、システム化された印象。極論してしまえば、この音楽は幾つかのギターリフの組み合わせが全て。で、この曲の大量生産システムが確立された事が、良さであり悪さであったんじゃないかと。すべてはアルバムのラスト曲"Into the Void"にあらわれている気がします。イントロの出だしは4小節1組のリフの4回繰り返し。リフ1回の演奏時間が約9秒ぐらいかな?同じ音型を繰り返す場合(ジャズだとリフと言わずにシークエンスという)、クラシックとかジャズだと、例えば最初の2小節は同じで後半の2小節を変えていくとか、色々とヴァリエーション化して演奏する事が多い。理由は、「同じことをまったく同じ形で繰り返すのは2回でも危険、3回だと絶対に飽きる」から。しかしこのアルバムの音楽の場合、何も変化させません。そこで何が起こるかというと…2回目以降、よほどこのリフを気に入りでもしない限り、まず飽きるんじゃないかと(^^;)。残り3回のリピートを聴いている間は退屈なのです(時間にすると、9秒x3=27秒ぐらい?これってCDを止める決断をしてもまったく不思議じゃないぐらいに長い…)。で、このリフが終わった後で何が起こるかというと…次のリフの繰り返しが始まります(^^;)。たぶん、若い頃の僕がダメだと思った理由は、この退屈さだったんじゃないかと。しかし、もしこのリフをカッコよく感じたら、けっこういいのかも。リフに関していえば、サバス的なダークさというのがあります。これはほとんど増4度とか増5度の使用に掛かっていて(4度と5度というのは西洋のポピュラー音楽で最重要となる和声音で、これを半音ずらした音を使うと、ちょっと気持ち悪い感じになる。サバスはこれをトレードマークのように使うわけです^^;)、今回よく感じた理由は…仕事しながらBGMとして流して真剣に聴いてなかったから、リピートに飽きず、リフのカッコよさだけが残ったのかも。このアルバムを通して「退屈だ」と「カッコいい」が表裏一体である理由は、まずはここかも。
 表裏一体ポイントがもうひとつ。イントロが終わった後に何が起きるかというと…テンポをあげて次のリフに入ってのコーラスパート。そこが終わると…さらにテンポをあげて次のリフ。そこが終わると…いきなり元テンポに戻って元のリフ(^^;)。この加速/減速、変わる/戻るという瞬間が気持ちいい!!ここで何が起きているかというと…多くの西洋ポピュラーの場合、シーンの変更で特に重要な要素は和声的なものを用いる事が多いと思います。しかしこの音楽の場合、音楽のシーンを変える要素として、和声機能などのヴァーティカルな要素よりも、テンポとかリフの変更などのホリゾンタルな要素が重要となっています。この部分に関していうと、クラシックにもジャズにも多くの民族音楽にもあまり似た感触のものが無いんじゃないかと。ここは凄くカッコよくて、以降のメタル・バンドの多くが取り入れる事になったサバス的な技法じゃないかと思います。引き替えに…和声は縦にも横にもあまり繋がりがなく、ほとんど機能しません。つまり、ヴァーティカルに音楽を見れば、ペラッペラなんですよね。この手のバンドのギターが音をブーストして倍音を強調する理由のひとつは、単純にサウンドが薄かったからだと思います。しかしそういうサウンドの厚みの加え方というのは、常に同じカラーでのサウンドの厚みとなるので(和声的に厚くするのであれば色々なカラーをつける事が出来るけど、ディストーションで厚みを加えると常に同じインターバルの音しか強調されなくなるから単調な音的印象になる、という意味)、薄っぺらになっちゃう、という事なんじゃないかと。これも良さと悪さが表裏一体なんでしょうね。

 というわけで、色々な音楽を聴いた人にとっては、退屈に感じる音楽である事は否めないんじゃないかと。しかしこれがブラックサバスでないと聴けないような部分も持っている音楽であることも確か。「久々にハードロックを聴きたいな」じゃなくって「久々にブラックサバスを聴きたいな」な~んていう時がたまにあるのは、このオリジナリティがあるからなんじゃないかと思います。いや~、40を超えて、はじめてこのアルバムを面白いかもと思った次第でした。でもやっぱり最初の4枚の中では一番苦手かも(^^;)


関連記事
スポンサーサイト

Comments
こんばんは 
Bach Bachさんとは、好きなアーチストが同じでも、そのアーチストのどのアルバム・曲が好きかとか、どういった面が好きかとかが違っていて、おもしろいですね。

私は最初の2曲のリフにやられてしまいました(汗)

ダークなだけではなく、やっぱりどこまでヘヴィーになれるか・・・というのが重要だと思うので、
多彩なコード進行や和声的なカラフルさ(?)がかえって邪魔になってしまうのかもしれません。

リフがカッコ悪ければ飽きてしまいますが、
このアルバムのリフがカッコ良すぎて、終わってほしくない・・・と感じることさえあります。

Bach Bachさんは、

そこが終わると…いきなり元テンポに戻って元のリフ(^^;)。

という所にカッコよさを見いだされているのですね~
サバスの曲は、こういった最初のリフへの戻り方が、他のロックバンドと比べても唐突な気がします。私は最初は違和感を感じるくらいだったのですが・・・今は慣れました(笑)

あとロックの魅力の一つにシンプルさというのもあるのかな・・・と思ったりします。
シンプルなコードでハードに歌う魅力があります。
複雑で多彩になることで失ってしまうものがあるようにも思えるのです。

Re: こんばんは 
 宮国さん、書き込み有難うございます!

 私は評論家さんと違って、パブリックな位置で発言をしなくて済む、ひとりのリスナーとして好き勝手書いてますので、あんまり気にしないでください(^^)。自分と違う捉え方があるのは勿論承知で、むしろ同じ捉え方なんてないと思ってます。特に音楽は論理ではなく感覚の受け取りも関わってくるので、人それぞれ違ってくるから面白いですよね(^_^)。

 そうですね、リフで作るロックは、リフをカッコいいと思えるかどうかで評価が分かれる気がします。僕の場合、リフがカッコいいと感じるかどうかとは別に、リフの最小単位が長すぎると飽きてしまうようです。Tレックスの"20th century boy"とかビートルズの"day tripper"なんかの2小節リフはオッケーで、パープルの"smoke on the water"とかサバスによくある4小節リフだと待てない、みたいな(笑)。

 サバスのリフの戻し方は、リズム的にも和声的にもスムーズな解決を最初から考えていないようなので(というか、スムーズにしない事を狙っているんでしょうが)、ぎこちなさはあるかと思いますが、これを良いと捉えるか悪いと捉えるかも人によって違うんでしょうね。私の場合、サバスはすごくカッコよく感じるのに、似たような事をやっている筈のアイアンメイデンの2nd以降はアウト。どうもこの辺に境界があるようです(^^)。
ゴールデンウィーク終わってしまいました 
スムーズにしない事、ぎこちなさがかえって魅力になっている、というのは私も感じます。
流れるような演奏ではダークさやヘヴィーさが出てこないし・・・
80年代のロックはテクニック的に上手すぎて流れすぎるのかも・・・?

最初のリフに唐突に戻るところは、少々違和感を感じますが、
おそらくその違和感が心地良いのかもしれませんね。
(私自身もだんだんそうなっているような気がします)

サバスのその後見て思うんですが、
音楽を作り出す人としては、
ずっと同じ場所に居続けるわけにもいかないし(?)
何かを捨てても新しいものに挑戦していくしかないのでしょうね・・・

Re: ゴールデンウィーク終わってしまいました 
宮国さん、いつも書き込み有難うございます!

そうですね、転調にしてもリズムチェンジにしても、「変える」事が狙いですからね。まったく変わらなければ飽きる、変えすぎると統一感がなくなる。作る側からすれば、この間のいい塩梅になる場所を探す作業なんでしょうね。

サバスの80年代以降は、よく言えばプロフェッショナルですが、僕的にはちょっとエンターテイメントすぎてイマイチでした。でも、80年代以降にブラックサバスがなかったら…と思うと、ちょっと嫌ですね。クラシックもジャズもアヴァンギャルドも民族音楽も大好きな僕ですが、それだけじゃ嫌です。サバスみたいな音楽もなくっちゃ(^^)。

10 2017 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
検索フォーム
アド
これまでの訪問者数
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS