さて、本題。カーター・ファミリーは、このアメリカのカントリー系の音楽で、ものすごく有名なグループのひとつ。このジャンルに無知な僕でも、"keep on the sunny side"(陽気に行こう)とかは知ってます。アメリカは移住の国で、中南米と違ってイギリスからの植民が多い。それがお隣さんともすごく遠いところで大農場をやっていたりするので、楽しみと言えば家族で何かをする事だったらしいです。歌もそういう娯楽のひとつで、イギリスから持ってきたブロードサイド・バラッドとかを家族でギターなんかを伴奏にして合唱したりしたらしいです。これが、アメリカのカントリーとかそっち方面の音楽に「△△ファミリー」とか「〇〇ブラザーズ」というのが多い理由なんだそうで。で、カーター・ファミリーは、カーター夫婦に弟嫁を加えたトリオ編成。これがイギリスのブロードサイドバラッドの無伴奏独唱とは違い、ギターにオートハープの伴奏に加えて、ゴスペルのような2~3コースのコーラスで歌います。で、基本的に全部似たような「ズンチャッ、ズンチャッ」みたいな陽気なリズムで、全部長調でこれまた陽気なムードの曲が多いです。若い頃の僕は、この陽気さと単純さが大嫌いだったんですが…いや~、過酷な農場での労働をしている日々に、夜に家に帰ってきてご飯を食べて、夜に家族みんなで「つらいのは分かってるさ、でも陽気に行こう」なんて詞を、明るい曲想でみんなで歌っていたんだと思うと、なんかホッコリした気分になってきてしまうのです。きっと、アメリカ本国でのカントリー愛好家の方たちも、なんかそういう所にアイデンティティを覚えるんじゃないかと勝手に想像したりして(^^)。 カーターファミリーは短い間ですがプロとして活躍しましたが、専門の音楽教育を受けたというわけではなくって、家族で楽しんでいた音楽がベースになっているという意味で、良い意味でフォークロアなんだと思います。そういうものに音楽的なあれこれを言うのって、なんか無粋な気がしちゃう。そんな所より、このムードがいいんです!個人的には、やたらと陽気な曲よりも、明るいけどちょっと郷愁を感じるような曲が好きなので、そういう曲が多く収められているディスク2以降がおススメ!大人になってから、じわじわと良さが分かってきた音楽でした。それにしても、1927年から34年の録音かあ。まさに「古き良きアメリカ」の時代ですね(^^)。