
古楽でも現代曲でもないいわゆる「クラシック」は、古典(または新古典)またはロマン派に分かれます。とはいっても、この区分けはかなりあいまいな所があって、かなり地続き。ハイドンを古典派と呼ぶのは何となくしっくりきますが、ベートーヴェンとなると古典派とはいっても限りなくロマン派に近いんじゃないかと。で、このロマン派という音楽になると、かなり人間の感情爆発みたいな、すごく情緒的というか官能的な音楽。でも、こういうのってどちらが良いというんじゃなくって、バランスだと思うんですよ。エモーショナル一辺倒だとグッチャグチャだし、かといって形ばっかり整序されていても全然心に響かないし、みたいな。だから、ロマン派と言ったって、形がテキトーなわけじゃなくって、バランスとしてエモーショナルな所を優先させる美観が根底にある、という事なんじゃないかと。じゃ、なんであんなにエモーショナルなベートーヴェンの音楽が「ロマン派」じゃなくって「古典派」に入るかというと、エモーショナルじゃないわけじゃなくって、ものすごく形式がしっかりしているからなんだと思います。
ああ、話がちょっと長くなりました(^^;)。で、このロマン派音楽というものはヨーロッパの音楽文化中心地のドイツから徐々に周辺へと広がっていったので、ロシアに届くまでちょっと時間がかかりました。今みたいにインターネットがあるわけじゃないので、それこそ100年遅れるなんていうのは当たり前。ところが、遅れた方にも利があって、そこに届いた時には試行錯誤の段階はとうに過ぎていて、すごく洗練されているのです(ただし、それだけにクリエイティブな所が少なかったりする^^;)。というわけで、末期ロマン派となると、本家ドイツよりもロシアに素晴らしい人がガシガシ出てきたりします。
グラズノフ、チャイコフスキー、そしてラフマニノフなんていうのはロシア・ロマン派を代表する作曲家なわけです。でもって、ラフマニノフの音楽で僕が結構好きなのが、この交響曲第2番!
ロシアの芸術作品というのは冗長なものが多い。例えば映画なんかもそう。クオリティは高いんだけど、抑揚が少なくて長くてダルい(^^;)。音楽にもそういう所がちょっとあって、このラフマニノフの交響曲2番も「長いからちょっと省略しちゃおうか」とか「長いからリピートなしで」とかいう演奏が結構あったそうで。まあ、全部演奏するのに50分以上かかるので、一度構造を見失うとあとは響きや断片的なメロディを楽しむ以外にはなくなっちゃうわけですし、それもちょっと分かります。ところがこの曲、
あまりに美しいメロディーと響きの連続の為に、確かに長いんだけど聴いていて集中力をそがれる事がないのです!1~2楽章が短調、3~4楽章が長調という構成もいいなあ。う~ん、久々に聴いたんですが、やっぱりスバラシイ。。
ラフマニノフはシンフォニーを3曲書いてますが、この第2番が現在でも一番人気なんじゃないかと。あ、そうそう、余談としては、交響曲1番は初演時に酷評されたんだそうですよ。それでラフマニノフさんは失意のどん底。しかし、そこから這い上がってこの曲を書き上げたんだから、見事なものです。いや~、批評家に抹殺されてしまうクラシックの音楽家って多いですからね、よくぞ頑張った、素晴らしい!!
それから、このディスクにはやはり管弦楽の《幻想曲:岩》という作品も入ってます。これも実にいい!!いや~、後期から末期にかけてのロシアのロマン派音楽の官能的な輝きは半端じゃないっす(^^)。。
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