愛聴していたのは、Mikael Helasvuo (flute)とJukka Savijoki (guitar)の『Toru Takemitsu: Works for Flute and Guitar』というアルバム。なんか知ったような口を叩いていますが、私、このプレイヤーさんをどちらも知りません(^^;)。このCDでしか聴いていないかも。 収録されているのは、フルートの独奏曲、ギター独奏曲、フルートとギターのデュオ、そして両者にヴィヴラフォンなどが加わった室内楽、こんな感じです。曲も演奏も実にすばらしく、そして幽玄なのです。何といえばいいのでしょうか、燃え滾るのでなく、冷めるのでなく。具体的なんじゃなくて、でも抽象的でもなくて。ボードレールだったかヴェルレーヌだったか、誰かの詩に「恍惚に傷つき沈む」みたいな一節があったと思うんですが、なんかそんなような音の世界です。 これを聴いていると、中学生の頃、未来にどういう大人になりたくて、どういう生き方をしたくて、こういうものが見えずに苦しんでいるころに、夏休みになって何をしたらいいか分からなくて、「部活に行く」とウソをついて町の喫茶店に行って、何時間もぼんやりと街路樹や通行人を見ていた時を思い出します。…わけわからないですね、スミマセン。でも、そういう行く先知らずでフワーッとしたような、何とも言えない時間を感じさせるのです、この音楽は。選曲が素晴らしく、サウンドも実に見事で、これに心酔して、何度も何度も聴いていました。