
そんなわけで、
フォーレのレクイエムをボーイスプラノでやったものを探して、たどり着いたのがこの録音。ミシェル・コルボ指揮、ベルリン交響楽団、サン=ピエール=オ=リアン・ド・ピュル聖歌隊。ボーイ・ソプラノはアラン・クレマン君です(^^)。ボーイソプラノの見せ場は第4曲「ピエ・イエズス」。ピッチがかなり怪しいですが(^^;)、やっぱりプロが朗々と歌うより、純真な子供が歌う方が断然いいなあ。。これは素晴らしい。後から知ったんですが、
このレコードは、フォーレのレクイエムの録音の中でも長らく名盤として扱われていたものなんだそうで。異論ありません。テンポも他の演奏と比べてゆったり遅め、洗われるような気持ちになります。
さて、この盤に関しては、僕は100点満点、大好きな録音なのでこれ以上いう事もないのですが、以下すこしだけ。フォーレのレクイエムは、レクイエムのために一気に書き上げられた曲ではなくて、いろんな時期に書かれた個々の作品を集大成するようにして完成しています。そんなわけで、たとえば第2曲「オッフェルトリウム」などは初演時には演奏されずに後から足されたものであるとか、まあ色々あるみたいです。とくに、全曲が揃ってからはスコアがふたつあって、最初のものは小編成の弦、オルガン、ハープなどの編成(1888年版)。これが、はじめて楽譜出版されることとなった1900年になると、ホルンなど主に金管が付け加えられて出版されます。これは、音楽出版社の要望もあったんじゃないかと言われてます。この録音は後者。素晴しい響きです。素晴しい響きなんですが、これを「フォーレが最初に意図した響きとは違う」といって却下する人も結構います。僕的には、最初の小編成版のシックな感じの素晴らしさを否定するわけではないのですが、どちらも素晴らしいのではないかと。だって、金管入りとなった
この響きの美しさ、尋常じゃないぞ。。
あともうひとつ。音楽史的に言うと、ロマン派全盛の時代に、フォーレは教会旋法を見事に扱います。モードですね。このレクイエムではその成果が存分に発揮されていて、これがメシアンをはじめとした、のちのフランス音楽のモード系の作曲家群の大ルーツになってます。ドイツ的なドラマチックな音楽がヨーロッパを席巻していた時代に、こういう「響きの感触」そのもので訴える音楽がフランスから生まれたのは、音楽史上でも重要な出来事だと思います。あまり語られませんが、フォーレはサティ、ドビュッシー、ラヴェル、メシアンと続くフランス音楽の基盤を開いた人なんじゃないかと思います。なかでもレクイエムは極めつけ。
というわけで、なぜ連続でレクイエムを取り上げたかというと…クリスマスだからです。楽しく過ごすクリスマスも素敵だけど、こういう音楽を聴きながら、心穏やかに過ごすクリスマスもいいんじゃないかと(^^)。
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