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『Anthony Braxton』

AnthonyBraxton_BYG15.jpg うちのレコード棚で一番好きなコーナーはフリージャズの棚。この生々しさがたまらない!ところが、手持ちのCD/レコードを減らすために、売ろうかどうしようか悩んでいるものばかり先に聴いていると、好きなコーナーほどなかなか聴かないという悪循環に(^^;)。輪をかけて、フリージャズを聴いていると奥さんが「これはデタラメじゃないの?」と毛嫌いするもので、ひとりの時じゃないとフリージャズや現代音楽を聴けないというのも痛いです。。

 そんな中、持ってたけどあまり聴いた記憶のなかったLPがこれ。70年代フリージャズの主役のひとり、アンソニー・ブラクストンの有名なレコードのひとつです。レーベルはBYG Actuel、フリージャズの有名なレーベルのひとつです。このレコードは1969年の録音。どれどれ…いや~、なんと形容したらよいのやら、えらくチープに感じる所もあれば、素晴らしいと感じる所もあり。なるほど、若い頃の僕には評価不能の音楽だったのかも(^^;)。でも、その分からなさ加減も魅力のひとつかも知れません。哲学書で、読み終わったものの訳が分からなくて、でも「なんかすごい本だった気がする」みたいなものって、ないですか?それと似た感じだったのかも(^^)。さて、ブラクストンはキャリアを積むごとに凄いプレイヤー&つまらない作曲家になっていきましたが、若い頃はいい意味でかなり怪しいムード。このアルバムはデビュー作の『3 composition of NEW JAZZ』と匂いが似てます。メンバーは、ブラクストン(sax, clarinet, flute, accordion)、レオ・スミス(tpなど金管)、ルロイ・ジェンキンス(violin などの弦、harmonicaなどなど)、スティーヴ・マッコール(percussionなどなど)のカルテット。シカゴ周辺のロフト・ジャズと言われたシーンでよく名前を見た人たち、という感じかな?
 収録は全3曲。ブラクストンさん自身の曲はB面で20分近く演奏されます。ただこれは曲という感じとはちょっと違って、特殊な奏法とか(ガサゴソいう現実音だけとか、録音のフィードバック音みたいなのとか、ジャズなのにそういうものまでアリというのが面白い^^)を間に挟みながら、いきなりトゥッティが決まったり、突然誰かのアドリブソロが展開されたり、みたいな感じ。B面始まって5分ぐらいしてから唐突に始まる最初のソロはブラクストンさんですが、これが例のアルトサックスの超高速プレイ。これに続いてジェンキンスさんのヴァイオリンソロ、ドラムソロに最後はトランペットソロ、みたいな感じですが、ジャズ的なソロオーダーとは全然違くて、各プレイヤーのソロになだれ込んでいくまでの音楽の作り方が面白い。ある部分はフリーで、トゥッティになる部分だけは書いてある感じ。これはなかなか面白いです(^^)。
 残る2曲はA面収録で、最初がトランペットのレオ・スミスさんの曲。怪しいメロディをトゥッティしてテーマにしている点がかなりバップ的というか、フリーとはいえ第1世代寄りの音楽のような印象を受けます。このフロント楽器のトゥッティ部分とフリープレイ部分を組み合わせて作ったような曲なんですが、これもやっぱりアンサンブルとそうでない所の間にある演奏が面白くて、怪しいムード満載(^^)。普通のジャズとかロックとかクラシックを聴いていると、全部が調性内とかリズム内だったりして、どこまでいってもルールでがんじがらめで単純というか、ヤバさが足りないと思う時があります。フリージャズやインプロヴィゼーションでも、最初から最後までカオスしかないものは大嫌いなんですが、秩序とカオスを行ったり来たりするタイプのフリージャズや現代音楽は、私にとっては至福です(^^)。最後がジェンキンスさんの曲で、これが一番曲らしいかも。面白いのは、たぶんブラクストンさんがアコーディオンを演奏してるんですが(クレジットにはないんですが、LPにはブラクストンさんがアコーディオンを演奏している写真が載ってる)、これがずっと和音を出したまま変化していくので、モード曲みたいになっていて面白い。曲調としては、東南アジアの農村部で聴ける笛の音楽、みたいな印象で、牧歌的でよかった。

 これだけ書くとめっちゃくちゃ素晴らしいアルバムのように感じられるかもしれませんが、この創造的な部分とは裏腹に、演奏がちょっと荒い(雑?)。録音もすごく悪い。「これ、ちゃんとした録音だったらけっこう凄い音楽に聴こえたかも」と思ってしまいました。最近、録音って実はすごく大事なんじゃないかと思うようになってきました。プレイの内容が同じでも、録音やミックスで駄作にも名作にもなっちゃうというぐらい大事なのかも。
 この、創造力に溢れている感じと、プレイが追いつかず、録音の予算も足りないアンバランスな感じが、フリージャズ第3世代、シカゴ周辺の音楽の特徴かもしれません。もし、インパルスとかブルーノートが彼らを拾っていたら、全然違った展開になったかもしれない…いや、フリージャズはジャズファンの間でも「わけがわかんない」とか言う人が結構いるから、それは無理か。。演奏や録音の粗さに目をつぶることが出来るのであれば、楽しめるアルバムではないかと思います。やってる事は思いっきり創造的で、めっちゃくちゃ刺激を受けます!!僕はフリージャズ大好きなので楽しめましたが、そうでない人にはどうかな?


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Comments
No title 
アンソニー・ブラクストンなんてまた渋いやつを出してきましたな。
必然の様であるけれども偶然だったり、意図的であるようで意図的ではない、誰かがうなると連鎖反応で誰かがざわめく、まるで「野良の動物たちが送る何もない日常」のようなサウンドがコレ系の醍醐味ですね。
わんわんわん様、 
書き込みありがとうございます!お元気でしたか?!

ブラクストン、大好きなんですよ。僕がスタンダードなジャズを聴き漁った時期というのは多分2~3年だけで、あとはその先に行っちゃったんです(^^)。やる方はモダンジャズばっかりでしたが、聴く方はフリーばかりでした。

ブラクストンは、フリーにしてはかなり構成がしっかりしているものが多いですが、このアルバムは、いい意味でも悪い意味でも結構崩れている感じでした。わんわんわん様がいうように、「意図的であるようで意図的ではない」方向に近いプレイでした。けっこう雑というか、粗いところが目立つんですが、逆にそこが野性味あってカッコよくって、魅力かも知れません(^^)。

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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