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『高柳昌行、阿部薫 / 解体的交感』

TakayanagiAbe_Kaitai.jpg 日本のフリージャズ伝説の1枚、サックスとエレキ・ギターによるフリージャズです。エレキ・ギターとはいっても、最近のエフェクターをたくさん使って音を作ってるんとはだいぶ違くて、古めのチューブ系アンプにダイレクトに突っ込んた音みたいな感触。で、使っているのがボディが空洞のジャズギターだからハウリングしまくり、それがフィードバックみたいな効果を出していてやたらとカッコいい(^^)。ただし、これはLPの話。ここが死ぬほど重要です。

 この音楽はデュオですが、ちょっと変わってます。デュオってプレイヤーが相手にする自分以外の音は、ぜんぶひとりの共演者の出した音になるんですから、即興だとどうしたって対話的な感じになりがちと思います。ところがこのアルバムの演奏は、相手の音を聴いて…というコール&レスポンス的にも、あるは主役とバックという風にもならないです。かといって、自分だけの音を延々と出しているかというと、そうでもないです。たしかに相手ありきの音楽なんですが、自分の音も相手の音もコンセプトもひっくるめて、お互いに音を出している気がします。ここは、聴いた瞬間に「あ、なるほど」と、妙に感心してしまいました。ギターなんてかなり恣意的、指癖や勢いで行ったらメジャーコードなんて簡単に鳴っちゃうと思うんですが、そういう幸せな音は絶対に鳴りません(^^)。ひたすらハード、シリアスな音の塊。サックスも、指先だけの早さじゃなくって、かなり息を深く入れて太く艶やかな音を生み出したうえでの高速プレイ。小手先じゃないです。こういう音の緊張感を途切れさせないまま一気に突っ走るんですが、このブレない精神力がすげえええ。

 でも、悲しい物語がありまして。僕はこのアルバムがCDで再発された時に飛びついて買ったんですが(LPは高いどころの騒ぎではなく、神戸と大阪では見た事すらナシ。ライブで東京に行ったときに初めて見たんですが、10万円!!買えねえ…=_=)、全然つまらなくってダメでした。ビックリするほど音がチープ。しょぼ過ぎて、期待に胸ふくらませて買ったのに「全然つまんないや」となってしまったのです。悲しい…。ところが、それから何年も経ってから、友人の超ジャズマニアさんからこのLPを聴かせて貰ったんですが…すげえええ、音が全然違う、メッチャクチャカッコいい!!!この音質の差、絶対にCDとLPというマテリアルの差じゃない。マスタリングとかミックスとか、そういうポストプロダクションでのミスじゃないかと。このCD、結構音がパチパチ鳴ってるので、マスターテープではなくLPから拾ったと思うんですが、その時の作業が絶対にマズかったと思います。CDには音が小さい所でレコードの走行音がはっきり聞こえる所があるんですが、そこを聴くと、どういうイコライザーをかけたのか想像できます。…中低音スッカスカ、生楽器にとってこんな重要な帯域をイコライザーでがっつりカットするなんて馬鹿じゃないのか。リマスターCDに食指の動かない僕なので、音には無頓着な方だと思うんですが、さすがにこれだけ改悪されると洒落になりません。僕が持っているCDは初CD化時のものですが、今は改善されたのかなあ。

 もうひとつ。CD盤はあらたにライナーが付け加えられていますが、これもちょっと…。CDのライナーを一部抜粋すると…「まず演奏=音楽を「投射」であるとする部分について。Projectionとは「投影=映写」でもあり、そこにはおのずと「光源」と「スクリーン」というものが措定される。これをそのまま「演奏者」=「主体」と「聴取者」=「客体」としていいのかどうか?」…掘り下げている所がまるで見当違いな気が(^^;)。仮にクラシックでこんなライナー書いたら、国外追放ものと思います。フリーを含めて日本のジャズをダメにしたのは、実は評論家じゃないかと思ってるんですが、レコード会社やミュージシャンの太鼓持ちとか、評論にかこつけた自分のポエムを書いちゃう人とか、やたらに多いんですよね…。

 この作品のCD化の不幸は、CD化に当たってのディレクター、マスタリングエンジニア、ライナー執筆者…90年代以降の日本のフリージャズを取り巻く一部伝え手のマズさによって起きたんじゃないかと。というわけで僕の中では、LPは名盤、CDは超駄作という感じですが…LPの入手は骨董品クラスでほぼ不可能かも。この二人のデュオでは、『集団投射-Mass Projection』と『漸次投射』という2枚を以前に紹介しましたが、音楽的にも入手のしやすさでも、まずはそちらをおススメしたいです。そちらも価格が高騰しちゃってるみたいですが、入手不能レベルではないです。特に『集団投射』は大名演!


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Comments
No title 
わんわんわんもこれもってます。
「阿部 薫 1949-1978」という書籍も持っています。
でもいつの間にか聴かなくなって行方不明になってしまった1枚です。
それはCDだったからかもしれませんね。

ちなみにモリケンさんにパーカー、アート・ペッパー、ゲッツ、ドルフィーに対するプレイ内容について質問した流れで「阿部薫のサックスはどう思いますか?」と聞いたところ「人間は死んじゃったらオシマイよ」と返事が返ってきたことを今でも強烈に覚えています。
アナログなら 
わんわんわん様、書き込みありがとうございます。

おお、「阿部薫1949-1978」を持ってるのですか、すごい!あれ、すごくいい本ですよね。僕は、その本のベースになった「阿部薫 覚書」という本も持っていて、そっちもいい本です(内容がほとんど同じですけど)。

『解体的交感』は、アナログだと全然違います。僕もCDで聴いたときは、はっきり言って駄作だと思ってしまいましたから(^^;)。それが、アナログで聴いたときはビビりました。マスタリングとか盤起こしで、こうも変わるものなのかとビックリしました。いい方に出るならいいんですが、このCDはひどかった(>_<)。

パーカー、アート・ペッパー、ゲッツ、ドルフィーですか。ドルフィーとゲッツについては前にちょっとだけ書きましたが、他の人も大好きなプレイヤーばかりなので、いずれ書きたいです(^^)。僕は、ミンガスのバンドに参加時のドルフィーが大好きです。

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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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