よく「ものすごいヘヴィーだ、ハードだ」なんて言われますが、あんまりそうは感じません。68年発表なので、当時はこういうヘヴィーな感じはまだあまりなくって、最初に聴かれた時のインパクトが大きかったという事かも。ガレージな感じはしますが、なんか狙ってガレージにしたようにも聴こえて(ヴォーカルとか、無理やり声を潰しているように聴こえる)、素でヤバそうなMC5とかみたいな凄さは感じず、感情移入もあんまりできず。サイケ感も、初めて聴いたときはほとんど感じませんでした。というわけで、えらく伝説化されたのは入手困難だからというだけだったのか…と、最初は思ったんですが、甘かった。 こうした感想を友人に伝えると、「ああ、それは1曲目のサマータイムブルースのヘヴィーなアレンジに引っ張られ過ぎなのかもよ」とのこと。なるほどたしかに良くも悪くもヘヴィー・ロック調のサマータイムブルースのインパクトが大きいかも…と思って、1曲目を飛ばして聴き始めると…なるほど、これはクリームじゃん!4曲目"Out of Focus"なんて、メッチャクチャカッコいいです!!"Sunshine of your love"のタム回しとそっくりな曲とかも出てくるし、ブルースフィーリングの長いアドリブとかもあるし、そもそもG/B/Drのトリオだし、クリームの影響はあるんじゃないかと。それでも、クリームよりグチャっとしたガレージな感じを受けるのは、アメリカゆえなのかも。で、"Doctor Please!"のギターのヒステリックでデチューンしたチョーキングヴィブラートあたりに、わずかにサイケな感じが。 というわけで、僕の中では、これはMC5とかソニックスとかグランドファンクとかの「ガレージ」なグループじゃなくって、アイアン・バタフライとかクリームとか、そういう「若干ハードロック的な要素があるアートロック」のグループに入ってます。実は、相当にかっこいい事をやってるんじゃないかと思うんですが、僕的にはヴォーカルの声がカワイイところがマイナス。これ、ヴォーカルがロバート・プラントやジャック・ブルースだったら、素晴らしいバンドになってたんじゃないか…な~んて、久しぶりに聴いて思いました。