『David Bowie / The rise and fall of ziggy stardust』

DavidBowie_Ziggy.jpg ポール・ブレイが死んじゃって、ピエール・ブーレーズが死んじゃって、さらにさらにデビッド・ボウイが死んじゃいました(ノ_・、)。そして、グレン・フライも。どんな人でもいつかは死んじゃうんだなあ。分かってはいるんだけど、やっぱり悲しいです。「ああ、またひとつの時代が終わっていくんだな」みたいな。ブレーズは過去にいくつも作品を紹介したし、ポール・ブレイとグレン・フライはいずれきちんと書きたいのでまたにして、まずはボウイさんの追悼を。

 『ジギー・スターダスト』は、72年発表のデビッド・ボウイさんの出世作で、「残り5年で滅びる地球に乗り込んできた宇宙人」という設定で物語が綴られていくロック・オペラ的なコンセプトアルバム。アルバム一枚でひとつの物語を綴るというと、僕がポップスの超傑作と思っているルー・リードの『ベルリン』を思い出しますが、あれが1973年発表ですから…今はじめて気づきましたが、『ジギー』の方が先なんですね!ただ、必要以上に期待しすぎない方がいいというか、中学生の頃ですら「大風呂敷を広げた割に、物語も音楽も全然チープじゃねえか」と思ってしまった(^^;)。色んなくくり方があると思うんですが、子供の頃に買った「ロックの名盤ガイド」みたいな本では、ボウイさんはグラムロックに括られてました。この括り方が正しいかどうかはまた別として、このアルバムに関しては的を得ているような気がしました。このアルバムでいえば、"It ain't easy" とか"Ziggy Stardust" あたりのブラスアレンジやエレキギターのナヨナヨ感とか"Ah~"とかいうカマっぽいささやき、お世辞にもうまいとは言えない演奏やヴォーカルに僕はグラムロック的なものを感じるんですが(^^;)、つまり僕はグラムロックというものを、チープさが売りの軽音楽と受け取っていた気がします。ボウイという人も芸名を変えたり女装してアルバムジャケットに使ったり奇抜なヘアースタイルをしたりで、それがボクには「売るために必死な人」に見えてました。そんなわけで、ボウイさんは70年代にはデビューしてた人ではあるんですが、80年代的な軽薄さを感じてました。50年代の商業ロックンロールが、60年代~70年代アタマにカッコいいものになりかけたのに、またしても「レコードを売ったりテレビ・ラジオでヒットさせるための商業的大量生産ロック」に収まっちゃったのが80年代とそれ以降、みたいに思うんですが、その80年代の兆しになった一人といえるかも。

 ただ、この軽さや商売っ気を理解した上で、そこに魅力を感じるというセンスもあるんだな、と思ったことがあります。昔、ローリー寺西さんというグラムロック大好きな人の仕事に関わらせていただいた事がありまして、その時に寺西さんが、一緒にやっているアレンジャーさん(すみません、名前を失念してしまった…寺西さんがアイデアを出すと、その場でその人がキーボードでうまくまとめていく、みたいな事をやっていたので、かなり寺西さんが信頼を置いている方に見えました)と、すごく嬉しそうにグラムロックの話をしていたんです。で、「あの安っぽさがいい」とか「あの売りに行ってる感がいい」みたいな。会話に出てくるグラムロックのアーティスト名も、僕が知らない人ばっかり。で、「このアルバム100円で売ってた」とか、楽しそうに話すんです。で、寺西さん、ワウを踏むときに、カッコよくやるんじゃなくって、わざとチープに踏んでたんです。キーボードの人も似たようなことをやる。で、互いに「それいい」とか「それはだめ」とか言ってるんですが、だいたいお二方の意見は合うんです。しかし、僕にはその善悪を決めている判断基準が全く分からず(^^;)。その時、分かったうえで魂を売るというか、斜に構えることをカッコ良いとしているとか、商売のための音楽家という選択があるとか、「ああ、僕がダメだと思ってる部分を、この人たちは良いと思ってるんだな」と思ったのでした。

 というわけで、ヒット作と言われたこのアルバムが自分の感性とは合わず、僕はしばらくボウイさんを敬遠する事に。僕にとってはそんな位置づけのアルバムでしたが、これを今聴くと…「音楽が本当に好きで、でも自分に音楽の才能があまりないと思ったからこそ、色んなチャレンジができたのかも」なんて思ってみたりもして。天才よりも努力家の方が、クリエイティブなものを生み出したりしますしね。。いずれにしても、ご冥福をお祈りします。


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BACH BACHさん
楽しく読ませていただきました
あまり大きな声では言えませんが、私は今もボウイの良さが分からないでいます
こうして作品が残されているから数年後にはすっかりハマっているのかもしれませんが

Re: タイトルなし

colさま、書き込みありがとうございます!

好き嫌いは人それぞれですが、単純に演奏や作曲などの技術面では、このアルバムはちょっと(^^;)…ですよね。。
でも、僕にはボウイさんでけっこう好きなアルバムがありまして、それは次回に紹介させていただこうと思います!
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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