
エマーソン・レイク&パーマーの最高傑作と呼ぶ人も多いアルバムです。そう言われるだけのものがあって、曲も演奏も隙がなく完成度が高い!でも若い頃、ELPの『
トリロジー』をすごくいいと感じたくせに、このアルバムには触手が動きませんでした。なんでかというと…まず、
邦題が『恐怖の頭脳改革』であった事。くっそダセえ…(^^;)。次に、ジャケットがギーガーの絵だったこと。いや、ギーガー自体は嫌いじゃなくって、エイリアンのデザインとか大好きなんですけど、やっぱりセンスが子供っぽいかな…。こういうジャケやタイトルを採用している時点で、浅い考えなんだろうな…と感じちゃったのです。
もうひとつは、ELPの音楽が、音楽の内容に深さがあるわけじゃなくって、クラシック系ピアノ教室あがりの鍵盤奏者がパンパンやりたいだけのものに思え始めていたこと。で、ジャケットやタイトルのセンスと、ELPの音楽に感じ始めていたことが、僕の中でつながっちゃった。なんていうのかなあ…絵でも音楽でも、テクニックは合格点まで行ってるんだけど、やる事そのものが子供っぽい人っているじゃないですか。絵がうまいのに、アニメの美少女ばっかり書いてる人、みたいな。。ああいうのを想像しちゃったんですよね。この頃はジャズや現音や民音にも手を出し始めていた頃なので、僕自身がもう商業ロックから卒業しないといけない時期だったのかも知れません。でも、中古盤屋で『展覧会の絵』とこのLPはいつも数百円で売っていた(それだけヒットしたんでしょうね)ので、ついに購入。で、聴いてみたら…「あれ、けっこういいじゃん」(^^)。食わず嫌いは駄目ですね。。でも内容は全然覚えてなくって、久々に聴いたのが今、という次第。
ナイスの時から、キース・エマーソンは変わりません。若い頃から、自分の音楽が確立されてたんでしょうね。なので、他のアルバムを良いと感じる人は、このアルバムも良いと感じるんじゃないかと。他のアルバムと比べて素晴らしい点は、曲も演奏も精度が高い所。この点ではELPの到達点みたいなアルバムなのかも。逆にマイナス面は…大好きな『トリロジー』との比較でいうと、作曲も演奏も細かい所ばかりに向きすぎていて、木を見て森を見ず感があり。バランスを失っている感じかな?これって多分、「俺たち
らしさはここだ!」みたいな自覚が出てきて、そこを強く押そうとしたらバランスが崩れた、みたいな感じ?この辺の感覚って難しそうです。例えばディープ・パープルのギターのアーミングって、メッチャかっこいいじゃないですか。でも、「あ、これはカッコいいぞ」とそればかりやるようになっちゃうと「ギュンギュンやってばかりいないで、もっとちゃんと弾けよ」みたいになっちゃう。
ミュージシャンって、音楽よりも自分らしさを追求し出すと、大体いい結果にならないですよね(^^;)。あ、でも、大作志向でなくって、ちいさな曲の詰め合わせみたいなのが好きな人なら、このアルバムは聴きやすくていいかも(^^)。
久々にキース・エマーソン関連のアルバムをいろいろ聴いてみた感想は…ロック界の素晴らしいプロ演奏家、そしてプロ音楽家。意外と、アーティストというのとはちょっと違うんだな、と思いました。音楽って共同作業になる事が多くて、素晴らしい曲があっても、それをカッコよく演奏できる演奏家がいなかったら、どうにもならないです。そういう点でいうと、他の音楽ジャンルに比べると演奏レベルの低かったロックの演奏技術をひきあげたパイオニアのひとりだったのかも。
演奏としてのロックをプロ演奏家のレベルにまで引き上げた、すごくいいプレイヤーだったんだな、と思います。
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レコードだから出来るこの遊びは最高ですよね。
色んなバンドがそんなことやってたいい時代。そういう意味ではジャケットも含めての作品(笑)