
中学生とか高校生の頃って、わけもなく苛立ってしまうというか、えらく漠然とした不安に押しつぶされそうになるとか、そういう時ってありませんでしたか?社会が理不尽だらけ、搾取されている感覚すらあるのに、自力ではどうしようもない。そんな中学生の時に、このCDを聴いて、訳も分からないままに興奮していました。頭脳警察!ファーストアルバムは3億円事件のモンタージュ写真をジャケット表紙に使って発売禁止(^^;)、そしてこのセカンドも政治色が強烈で速攻で発売禁止。僕が飛びついたのは、CD化の時でした。
頭脳警察がデビューした時代は、70年安保の頃。太平洋戦争に負けた日本はアメリカ統制下に入りましたが、そこからの独立を果たす代わりに、日米安全保障条約をアメリカと結びます。植民地主義の延長にある世界体制を築こうとしていた枢軸国からみて、戦敗国の処理は課題でした。1次大戦では戦勝国のフランスがドイツに天文学的な賠償金を課し、これがドイツ国民に「ふざけんなよ」という感情を生み出し、ナチの台頭を呼び込んでしまいました。この反省から、アメリカは9条を含む平和憲法などを設けて日本支配を行いました。いまになってアメリカが9条制定を悔やんでいるというのは、なんとも皮肉なハナシですが( ̄∀ ̄牛)。しかし、この安保条約が建前とは裏腹に実質的には極東方面アメリカ支部という属国契約でありかつ不平等条約であった点が日本国民からすると大いに問題に映るところで(最初の頃なんか「日本の内乱に米軍が出動できる」というとんでもない条項まであった)、それに反対した学生運動が激化したのが60年安保と70年安保。そうした70年代安保闘争の学生運動のうちで人気となったのが、邦楽ロックの頭脳警察。いや~、説明長すぎましたね(^^;)。でも、そういう中から出てきたロックだからこそ、今の日本の産業ロックとはメッセージの強さや叫びの情熱が全然違います!
頭脳警察の代表曲「銃を取れ」は、学生運動のアジテーション・ソング。それは同時に、どうにもならない鬱屈したフラストレーションの捌け口にもなっていたんじゃないでしょうか。今のロックには感じられない叫びがあります。そして、なんというのかなあ…学校がデモで閉鎖、権力に押し切られ、バリケードの中で鬱屈とした思いをしている人たちには、こういう歌があってくれたのは救いだったのかもという気がするんですよね。ファズで歪んだレスポールの図太い音は、今聴いてもカッコいい!!「なんでこんななんだよ。黙ってていいのか?政治はよくわからないとか言ってていいのか?おい、立ち上がれよ!」みたいなアジテーションは、産業ロックやチャート・ミュージックではとうてい聞くことの出来ないもの。主張に同意出来るかどうかはさておいて、
日本の70年代という時代の雰囲気を見事に捉えた稀有なレコードだと思います。日本のロックのレコードとしても、間違いなくベスト10に入る1枚じゃないでしょうか?!
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