『来生たかお / バラードセレクション』

KisugiTakao_BalladSelection.jpg 80年代、僕は小学生。ザ・ベストテンとかトップテンとかヒットスタジオとか、テレビで歌番組を毎日やっている状態でした。演歌とかニューミュージックとか、色々聴くことが出来たのですが、その中心はアイドル歌謡だったような気がします。松田聖子さんとか田原俊彦さんあたりが、その代表的存在でした。アイドル歌謡というのは、小学生でもみんな「音痴だ」と馬鹿にしていた記憶があります。実際に、子供だましなものが少なくありませんでしたしね。でも、そんな中で「これは凄いなあ」と思った曲が、中森明菜さんの唄った「セカンド・ラブ」という曲。オーボエに主旋律を取らせてのウィズ・ストリングス。そして、いつかの記事で機能和声について書いた、グッとくるところのある、きちんとした作曲です。この曲の場合は、SUS4というコードからの解決がそれなんですが、これがジワッとくるんですよ。素人ばかりの日本のアイドル音楽文化の中で、どう考えてもこれはプロの仕事でした。

 この作曲/編曲を行っていたのが、来生たかおさん。来生さんの作曲は、曲中にグッとくるような和声進行部分を作り、転調も実にきれいに作ります。アレンジにはストリングスを用いる事が多く、このストリングスのアレンジが実に見事。来生さんの前の時代にも、ポピュラー音楽の弦アレンジの専門家みたいな人はいるのですが(宮○さんとか)、技術レベルが違います。来生さんというのは、こういうプロフェッショナルな技術を持って、日本の歌謡曲を陰から支えた人なんじゃないかと思います。いわば、アイドル歌謡の、影の主人公です。表には決して出て来ないが、実は本当の本物みたいな人に出会うと、うれしくなっちゃいませんか(`-^*)。なんだか、本質に迫れたような気がして。

 で、このアルバムは、来生さんの書いたバラード集です。曲ごとのアレンジも凄く丁寧。スピード重視で未完成状態としか思えないような状態でボンボンと新曲が発表されていく歌謡曲の中に混じると、アレンジの丁寧さがよけいに目立ちます。技術力が高く、しかも丁寧に作るものだから、それはいいものになるに決まってますね。「セカンド・ラヴ」「マイ・ラグジュアリー・ナイト」「シルエット・ロマンス」「無口な夜」…名曲ぞろいで、詞の内容も音楽の作りも、子供だましではない、大人の歌謡曲です。



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Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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