
名画といわれてるのに見ないまま来てしまった作品。なんかいい映画ないかな~とネットで検索すると、掲示板なんかではこの映画と「
スタンド・バイ・ミー」を推す人がけっこういるし、しかも「スタンド・バイ・ミー」はメッチャクチャ良かったので、この映画もいいんじゃないかと期待して鑑賞。あ、そうそう、僕が見たのは120分ぐらいの劇場公開版。他に、170分ぐらいの完全版というのもあるらしいです。
シチリア島に生まれ育った映画好きの少年の人生を追ったお話。イタリア本土から取り残された島は、時が止まったように平穏だけどまずしくて、映画だけが島の唯一の娯楽。主人公の少年も映画にのめりこんたひとりで、映写室にもぐりこんでは映画に胸ときめかせる。ある日、映画見たさにお使いを頼まれたお金で映画をみてしまい、母親に激しく叩かれる。それを見かねた映写技師のおじさんアルフレードが「この子はタダで入れてあげた。お金は映画館に落ちていた」とこの子を助け、これがきっかけで二人の仲が良くなる。少年は成長し、恋をし、失恋し、徴兵され島を離れ…
以降、ちょっとストーリーに言及してしまうので、読みたくない人は◆しるしのところまで読み飛ばして下さいね(^^)。
ひとりの人の半生を追っているので、ストーリーは長いんですが、重要なのは細かいストーリーではなくって、色々とあった島を離れ、映画のラストで30年ぶりに帰ってきた時のノスタルジー、ここにあるんじゃないかと。子供のころの「あるある」や夢や楽しさがギッチリと描かれ、青年期の恋のときめきや楽しさ、そして失恋の痛手もていねいに描かれ、そのすべての舞台となった故郷を離れ、30年後に帰ってきて、昔の恋人にはじめて会ったころに彼女を写した短いフィルムを見て、涙する。この時、観客が主人公と同じように涙できるためには、子供のころのときめきや、恋や失恋の感触が共有できてないと無理なので、少年期と青年期が丹念に描かれてるんだと思います。でも、丹念に描かれているとはいっても、それぞれの筋はある程度のガジェットになってれば充分なんだと思います。ガジェットとしては、キスシーンの切れ端をつなぐという象徴的な意味とか、なぜ島を出なければならないかの間接的な説明になる映画の上映とか、いろいろあると思うんですが、それは映画や小説によくある「細部が分かるとより楽しい」という程度のもんで、筋の捕捉程度のものと思ってればいいのかも。重要なのは、やっぱり喜びも悲しみもひっくるめ、旅立った地に30年ぶりに戻ってきた時の感触、僕にとってはこれに尽きました。出会った頃の恋人を撮影した短いフィルムを30年ぶりに観るシーンは、涙を押さえきれなくなってしまった。いやあ、こんなのずるいぞ、泣かないわけがないじゃないか(・_・、)。
◆◆◆
というわけで、ノスタルジーにキュンとなる映画でした。よかったけど90点ぐらいかな?もしかしたら完全版というのを観たら100点になるのかな…。でも、熱狂的なファンがいるというのもすごく分かる気がしました。あ、あと、ストーリーとは関係ないですが…トーキー時代のイタリアの街の風景や人の恰好などが、みていてジーンと来てしまいました。映画について書くと毎度毎度おなじことを言ってしまいますが、世界旅行や時間旅行してる気分になれるのも映画の良さですよね。イタリアというと、僕はサスペリアみたいなホラー映画やゴッドファーザーみたいなマフィア映画で観るばかりだったもんで、すごく良かった!あらためて美しい国だなあ、さすがヨーロッパの中でも古い歴史を持ってる国だなあ(^^)。
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