アシュケナージのショパン・スケルツォを聴いていたら、素晴らしいんだけどあまりに完璧で息が詰まってしまった(^^;)。もっと狂気の沙汰の暴力的なショパンが聴きたくなってきたぞ(ゴソゴソ)…お~あったあった、ホロヴィッツのショパン・コレクションです!ホロヴィッツがRCAに残したショパン録音全集で、RCA時代という事は若いころ。若いころのホロヴィッツといえば、力でねじ伏せる系(^^)。ものすごいテクニシャンですが、自分が演奏できるか出来ないか際どい速度にでも強引に押し入って、ピアノが壊れるんじゃないかというぐらいにそれを無理やり演奏しきっちゃうみたいな、なんか憑きものがついているようなピアノ。アルゲリッチやアシュケナージより古い人なのに間違いなく超絶テクニシャンのひとりですが、
うまいというよりすごいと言いたくなってしまう人です。あ、これは若いときのホロヴィッツの話ね(^^)。
若いころのホロヴィッツは、超絶技巧オンパレードの演奏困難なロマン派音楽に挑戦することが多いです。そしてその演奏は、さっきも書いたみたいに時として危険な所に踏み込んで、しかもそれを強引にねじ伏せちゃうような感じ。すんごいです。ただ問題は、録音が古いので、音がちょっと潰れちゃってたりするし、モノラル録音だったりもするしというわけで、多彩な音色の使い分けとか、微妙なタッチの差とかが聴きにくい(T_T)。色んな人の証言では、その圧倒的な演奏よりも「音が多彩」「音が独特」というものが結構多くて、実はそこもすごかったんじゃないかと思うんですが、ちょっとボクの耳では、残された録音からそこまで判断できないっす(^^;)。ただ、晩年の録音で、若いときの圧倒するような演奏じゃなくって、それこそ音を見事に使い分けた立体的な演奏のコンサート録音を聴いたことがあるので、実際にそうだったのかも。でも、そういう細かい所が聴けなくても、やっぱりこの鬼気迫るスケルツォはすごい!!僕が憧れたピアニストって、音大だと「真似しちゃいかん」と言われた事が多いです。グールドは背中まるめて目の前に指があるような姿勢で弾くのは力の伝達がうまくいかないからダメ、ホロヴィッツは指が伸びてるからダメ、みたいな。そんなのいいじゃんね、世界最高峰の人がそれで見事な演奏を出来てるんだから。。
僕的には、富士山とかを世界遺産認定するより、こういうものを世界遺産に選定すべきだと思っちゃうんですよね。これは
クラシック・ピアノを聴く人だったら絶対に聴いておきたいボックスであるどころの話じゃなくって、
人類の遺産じゃないかと。ああ、こんなすごいものに触れることができて、僕は幸せだよ(^^)。。
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