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Category: アート・本・映画 etc. > 本(音楽関係)   Tags: ---

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書籍『現代音楽を考える』 ピエール・ブーレーズ著

Boulez_GendaongakuwoKangaeru.jpg ブーレーズの作品に関する(じゃっかん否定的な?)事をあれこれ書いてしまいましたが、これは間違いなくかわいさ余って憎さ百倍の典型です。だって、若い頃、現音でいちばんすごい人ってこの人だと思ってましたし、実際にメシアン以降でいちばん研究したのもブーレーズでした。この本、現代音楽をまったく聴いたことのない人は、読んでも理解するのはむずかしいと思います。でも、シェーンベルクやメシアンや前衛三羽烏あたりの現代音楽の有名曲を聴いて「面白いなあ、でもどういう事をやってるのかまではちょっと分からん。ちょっとマジメに勉強してみようか」みたいな人にはジャストフィットじゃないかと!なんてったって、現音のなかの名著のひとつですからね(^^)、仮に苦手と思っても、現代音楽を勉強したいなら避けては通れない一冊だと思います。

 国内の二流コンクールですら4位入賞が精いっぱいだった僕は、クラシック・ピアニストになるのは無理だと痛感、自分なりにあれこれ考え、ピアノはクラシックのリサイタリストは断念してジャズに絞り、音大では作曲科への転科を目指しました。せっかく音大に入ったんだから、ピアノの道が無理なら、せめて大好きな現代音楽の作曲の勉強だけでもしてから卒業したい、願わくば作曲家の道が開けるかもしれない、みたいに考えたんです。その転科を目指した時期に、この本に出会いました。現代音楽の中心人物ブーレーズが書いたもので、新ウィーン楽派の作曲に触れながら、ブーレーズのセリー作曲に関する考えをザックリと書いてあります。セリーの概論を、音高、持続(分かりやすく言えばリズムやテンポ)、強度、音色に分けて、それがどのように組織化されていくか…という所を、分かりやすく大まかにかいてある感じです。

 この本を読んだ時、なんで現代音楽の作曲技法に教科書がないのか、その理由が分かった気がしました。たとえば、この本で書かれているセリーの音高に関していえば、その音高上での音列とそのグループ化のあり方によって、音を組織化するルール自体がおのずと変わっていくから…みたいな。バッハやベートーヴェンの頃のフーガやソナタなら、和声法も楽式も既定があって、その中で作曲します。そういう意味でいうと、今の産業ロックや産業ポップスに似てます。ところが現代音楽は、その和声法や楽式自体も半分自分で作曲するような世界だったのです。今は、「これはセリー」「これはミニマル」みたいな産業ロック的な職業現代音楽もあるんですが、当時の世界の最前線はそうじゃなかったように感じます。硬派だったんですよね。
 僕は「人生が掛かってるんだ、意地でも作曲科に転科したいんじゃ。基礎から教えてくれ!」と必死だったんですが、「セリーの基礎はこれだけ。この先は自分で作れ!」と、サッカーでいえば基礎的なルールだけ教えられて突っ返された感じ、パスやドリブルのコツすら教えてくれない(^^;)。教えてもらって当たり前という学生気分が抜けていなかった僕は、放り出された気分でした。「そうか、自分で研究して自分で作曲技法自体を創って切り開く世界なんだ」と分かっただけでも前進というほど、僕は無知だったんです。当時は実際に独学で原音を学ぶと言っても教科書が少なかったですし、それも仕方なかったかも。でも、本当の意味で自分で創るということをはじめて知った気がして(与えられた枠の中で創るポップスの作曲やジャズのアドリブは、実は作曲もアドリブ演奏もヴァリエーションを生み出してるだけで自分で創ってるわけではないんだと、この時にはじめて感じました)、ワクワクもしたし夢も勇気も沸いてきました。メシアンの「世の終わりの四重奏曲」や武満徹の「ノーヴェンバー・ステップス」という、今までまったく聴いたことのない衝撃の音楽世界を経験してから何年も経ち、いまやっとその舞台裏入り口が見つかった…そんな気持ちでした。この後、必死こいて勉強した甲斐あって作曲科への転科に成功(でも転科試験に現音はほとんど出なかった^^;)、限られた移調もセリーの基礎も無事授業で学ぶ事が出来ました(^^)。買い集めたCDやLPは売っても、作曲家一門だけに伝えられる門外不出のこの時のノートだけは一生手放さないぞ。

 当時、独学でセリーの技法を学ぼうとしたら、最初に音列技法メシアンの技法を学んで、そこから先はこの本を含めたブレーズやシュトックハウゼンの本、それに「20世紀の作曲」ぐらいしか突破口はないというほど、この本は重要でした。あとは、海外音大の現代音楽作曲家クラスのノートを何とかして手に入れるとか、僕にはそれぐらいしか道が見つけられませんでした。いまだと少しは状況が違うんかなあ…。どうしていいか分からずに途方に暮れていた僕の目の前に垂れ下がった一本の蜘蛛の糸、それがこの本でした。これ、メッチャいい本です。現代音楽が好きな人は、たとえ作曲をしない人でも、現代音楽の軸のひとつがどういうものなのかが分かりやすく理解できるので、とってもおすすめです!

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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