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『KING CRIMSON / 暗黒の世界 Starless and Bible Black』

KingCrimson_StarlessBible.jpg 音楽のアルバムって、1曲目が重要というか、1曲目がダメだとそこでゲンナリしちゃう事があります。で、2~3曲目もつまらなかったりすると、以降はもう聴かなくなっちゃたり。このアルバム、とにかく1曲目がダメ。だから、最初に聴いた頃は、あまり印象が良くありませんでした。しかし…それ以降は、キング・クリムゾン最高のパフォーマンスのひとつなんじゃないかと思っています。

 ひとつ前の記事『太陽と戦慄 Larks' Tongues in Aspic』では、その現代の作曲技法とクリムゾンの関係の事を書きました。しかし、この時期のクリムゾンの凄いところは、作曲面だけでなく、即興演奏能力もものすごい!何かで読んだ記憶があるのですが、この時期、キング・クリムゾンのライブでは、インプロヴィゼーションを絶対に何曲か演奏する事にしていたそうで。そしてこの『Starless and Bible Black』は、この時期のクリムゾンのアルバムの中では、もっともインプロヴィゼーション色が強いものです。インプロヴィゼーションといっても、ある曲中でアドリブでソロを演奏するというタイプのものではなく、曲自体をインプロヴァイズしてしまうというもの。フリー・インプロヴィゼーションに近いものですね。しかし、大友良○とかの最近の日本人なんかがやっているような、単なるヘタクソがメチャクチャやっているやつじゃありません。即興とかいって、デタラメな結果でいいんであれば、猫の歩いたピアノだってインプロヴィゼーションだとか言えちゃうと思うんですよ。しかし、クリムゾンはそうはならなくて、フォルムまで相当な精度で塑像されていく見事なもの。そうなるにはちゃんと理由があって、コンセプトがしっかりしているから。例えば、3曲目「We'll Let You Know」では、徹底してホールトーンと呼ばれるスケールでインプロヴィゼーションが押し通されます。しかも、その使われ方が、機能和声のドミナントで使われるとかじゃなくって(ホールトーンというスケールは、ジャズとかの西洋ポピュラー音楽では、普通の長調や短調の曲だと、ドミナントで使われる時がある)、ホールトーン自体が主調。コンセプト自体が明確なだけに、フォルムもしっかりしてくるんじゃないかと思うんですよね。同様の構造は、7曲目「Starless and Bible Black」なんかにも聴くことが出来ます。

 そして、アルバムの白眉は、終曲「Fracture」。キング・クリムゾンが蓄積してきた、作曲技法に対する考えとか、インプロヴィゼーションとか、あの独特な音楽ニュアンスとか、明らかにクラシック音楽の影響がみられる楽曲構造とか、これら全ての音楽的な成果が、この1曲に結晶しています。私、ギターは弾けないんですが、このギターって、ものすごい難しいんでは?テーマ的な部分は、2つの主題の対比で構築されているんですが、これが展開されていくにしたがってものすごい技術を要求されるようなプレイになっていきます。また、曲のダイナミクスもオーケストラ並みで、ピアニッシモからフォルテッシモまでを使いこなした楽曲をロックで聴いたのは、この曲が初めてでした。この曲、何十回聴いたか分からないぐらいに、聴き込みました。。

 本気で音楽に取り組んできたからこそ辿りつけた場所なんじゃないかと思います。いまだにベートベンとかやっている事に疑問を持たないクラシックとか、いまだにマイルスとかやっている事に疑問を持たないジャズとかに比べて、なんという高いミュージシャンシップを持っている事か。本当に素晴らしいアルバムだと思います。…1曲目さえダサくなかったら、語り継がれるアルバムになっていたんじゃないかと(^^;)。



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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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