『ブロウ・バイ・ブロウ』 の翌1976年に発表のジェフ・ベックのインストフュージョンロック路線第2弾!いやあ、前作から1年でここまで完成させちゃうか、これはすごい。30年ぐらい前の名盤ガイドなんかだと、これがジェフ・ベックのアルバムの中でいちばん名盤扱いされてた気がしますが、それって前作とのギャップ、同時代のほかのロックとのギャップ、フュージョン方面はあまり聴かずにロック中心に聴いていた人たちに与えた「なんだこれは!」というカルチャーショックも大きかったのかも。この作品から
ヤン・ハマーが参加、ドラマーはナラダ・マイケル・ウォルデン…完全にマハビシュヌ・オーケストラ ですね(^^;)。そして
ここからジェフ・ベック黄金時代が到来!! まず、1曲目
"Led Boots" がいきなり超カッコいい!ロックギターを弾いた事がある人でこの曲を知らない人はいないんじゃないかというほどの大有名曲、同時に「スターサイクル」 に並ぶフュージョンロックの名演 と思います!!この曲の何がカッコいいって、ドラムやクラヴィのリズムセクションのキレあるビートとその上を正確に刻む手数にあるんじゃないかと。バスドラなんかベチベチとミュートしまくりで音も余韻ゼロで張りついてますが、この止められた音で千手観音のように細かく刻まれたリズムを叩いてくる、これがスタッカート気味に響いてくるのでリズムがやけに躍動するというか、聴いてるだけで体が躍動してくる、メッチャかっこいい!!もしこの曲、ドラムが普通に8ビートやフィルの少ない16ビートで叩いたり、ビハインド・ザ・ビートで叩かれたりしたら全然カッコよくなかったんじゃないかという気がします(^^;)。 このアルバム、ドラマーのナラダ・マイケル・ウォルデンがけっこう曲を書いてますが、ドラマーが書いたからこういうイメージの音楽が作れたのかも(あ、「レッド・ブーツ」の作曲は別の人です^^)。まったく同じ事が、B面2曲目の「Sophie」にも言えそう。
ドラムのほかにもうひとつすごいと思ったことがありまして、ギターのソロアドリブ。基本的に演奏のフォームはジャズ/フュージョン的というか、テーマ→アドリブ→テーマみたいなかんじで、ギターのアドリブもけっこう満載なんですが、そのイメージというかアイデアというかが、ちょっと僕みたいな人では想像もつかないような角度からアイデアが飛び出してくるというか、どういう考えをすればこういう組み立てになるんだろうか…というかんじなんですよね。使ってる音どうこうじゃなくって、どうやってソロを組み立てるかという所のアイデアが斬新。こんなふうにしたらまとまらなくなっちゃうんじゃないの?と思いきや、ぜんぜんそういう事がなくって、ぶっ飛んでるんだけどまとまる。これは天才的だ…。とはいえ、少し凝った和声進行になるとボロボロになるところをみると、けっこう感覚頼りで弾いている所も多いのかなと思ったりもしましたが、それでもどうにか形にしちゃうんだからカッコいい(^^)。。
ジャズの
チャールズ・ミンガス の名曲「Goodbye Pork Pie Hat」は、ああいう綺麗な和声を作った音楽をこういう直線的なものにしちゃうのはちょっとアレな気がしましたが、他はパーフェクト!!アルバム「THERE AND BACK」が気に入った人は、ぜったいこのアルバムも気にいるはず、
ロックの大名盤、フュージョンの大名盤、ジェフ・ベックの代表作のひとつだと思います!!
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