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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『Eric Dolphy / Last Date』

EricDolphy_LastDate.jpg 1964年6月2日録音、チャールズ・ミンガスのヨーロッパ・ツアーに帯同し、そのままヨーロッパに残ったエリック・ドルフィーがオランダに残した録音です。拍手喝采から始まるのでライヴ録音かと思いきや、実はあれってスタッフの拍手なんだそうです(^^;)。

 ワンホーン・カルテットでの演奏で、ドルフィーを支えたのはミシャ・メンゲルベルクのトリオ、ドラマーはなんとハン・ベニンク!ミシャ・メンゲルベルクもハン・ベニンクもオランダのフリー・インプロヴィゼーションの超大物で、ミシャ・メンゲルベルクはICPオーケストラという前衛色の強い即興音楽のオーケストラを率い、たしか若い頃に現代音楽で作曲の賞も受賞していたはず。ハン・ベニンクの凄まじいドラミングは、ジャズやインプロヴァイズド・ミュージックを聴いている人なら、ペーター・ブレッツマンのグループなどでさんざん体験済みでしょうから、今さら僕が書く事なんて何もないですね(^^)。

 とはいえ、ベースとドラムはキープに徹していて、このアルバムの凄さはドルフィーとミシャが創り上げた独創的なジャズ。セロニアス・モンクのねじれたナンバー「Epistrophy」をこういうハーモニゼーションを施して演奏できるドルフィーとミシャが凄いです。しかもジャズ的な即興の範囲でこれをやるのは、付け焼刃ではとても無理。このセッションに挑む前から、自分の中にこういうアドリブのメソッドを作り上げていたとしか思えません。これは凄い…あ、この曲の最後のテーマでドルフィーが1拍数え間違えて、ミシャが戸惑って演奏をやめてしまうのはご愛敬です。きっと、ドルフィーがわざとずらしたのか数え間違ったのか、判断がつきかねたんでしょうね(^^;)。
 この「Epistrophy」と同類のハーモニゼーションを加えた曲が、ドルフィー自身が書いた「The madrig speaks, the panther walks」(アルバム『Iron Man』には「Mandrake」の名前で収録)ですが、なぜハーモニゼーションが重要かというと、ドルフィーのアドリブはリハーモニゼーションに対するアプローチとしてアドリブを取るからです。これがレギュラーグループではなく、初顔合わせ同士の演奏とは到底思えません…。
 そして…驚くべき事に、ミシャの曲「Hypochristmutreefuzz」も同様のハーモニゼーションで処理されるんですよ!

 エリック・ドルフィーって、はじめてここで自分と同じ視点と次元でジャズを捉える事のできる和声楽器奏者と出会えたのではないでしょうか。ハービー・ハンコックはカッコよかったけどドルフィーとはリハーモニゼーションの方向と、なぜそうするのかの根底にある音楽観が違っていたように感じましたし、ボビー・ハッチャーソンはまだドルフィーと音楽観を共有し演奏できる所までたどり着いていないように聴こえました。指揮者/作曲家を父に持ち、自分も作曲での受賞歴を持ちつつオランダの即興演奏界を牽引したミシャ・メンゲルベルクとの出会いは、ついに自分の演奏が暗に目指していた音楽を音に出来る和声楽器奏者との出会いだったのではないかと思います。実際、ドルフィーはこのレコーディングのあと、このトリオに再共演を切望する手紙を書いて送ったんだそうです。しかし時すでに遅し、このレコードングが行われてからひと月と絶たないうちにドルフィーはあの世に旅立ってしまったのでした…。
 このアルバムは、ミシャの1曲を除けば、ドルフィーがすでに演奏してきた曲ばかり。ついに意中の共演者を得たドルフィーが、このカルテットを想定して曲を書き下ろし、次のステップに踏み込んでいたらどうなっていたかを考えずにはいられません。紛う事なき世紀の大名盤、ジャズを好きと言っておきながら、このアルバムを聴いていないとかいうのはナシでお願いします(^^)。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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