
僕が子供のころの日本の男性アイドルといえば、沢田研二、西城秀樹、郷ひろみ、このあたりでした。沢田研二や西城秀樹はカッコいいと思ったんですが、郷ひろみの良さは僕にはよく分かりませんでした。田原俊彦さんや郷さんの良さは、女性でないと分かりにくいのかもしれませんね。ところが、郷さんで1曲だけ好きな曲があります。「逢いたくてしかたない」、
1995年、67枚目(!)のシングルカット曲、アルバムは32枚目(!!)です。すげえ。いやいや、僕も最初はなんとも思わなかったんですよ、むしろ相変わらず日本のポップスの定型バラードはダセえな、とすら思っていました。
僕はポップスのバラードの良さがよく分からない人間なんじゃないかと思う時があります。
ビートルズの「イエスタデイ」や「ロング・アンド・ワインディング・ロード」なんかはその典型で、良さがぜんぜん分からない(>_<)。きっと、そっち系のセンスがないんですね。日本だと「千の風になって」とか、まったく分かりません。大ヒットした郷さんの「逢いたくてしかたない」もまったく分からず。曲は今でもいいと思えませんが、しかしある時、詞が心に刺さってしまったのです。具体的な情景描写がないので詞が抽象的で、ピンとこなかったんですよね。「逢いたい」と連呼されても、みたいな。でも、何の歌なのかが分かった瞬間に、ゾクッと来てしまいました。
この歌、不倫ソングなんですよ…。逢いたくて仕方ない、抑え切れない気持ちがある
こんな迷いは責めればいい… 不倫どうこうはともかく、恋にはこういう気持ちしかないだろうという感じ。理屈でなく、こうなってしまうのが恋ですよね…。ちょうどそういう事が自分にあった時でして、思わず胸が詰まってしまいました。そしてその時、郷ひろみファンの女性が、彼のどこをいいと感じるのかが、なんとなくイメージ出来てしまいました。ジュリーは色男すぎて付きあったら苦労しそう。西城秀樹は熱血漢すぎて1回怒らすと2度と許してくれなそう。でも郷ひろみは少し頭弱いかも知れないし貫禄がなくて頼りない感じもするけど誠実、こういう人なら信頼して一生一緒に生きていけるかも、って思えるのかも知れません。
僕の青春時代の80~90年代の日本のチャート音楽は完全に子供向けになっちゃってたので、僕が卒業したのも当然と言えば当然、むしろ卒業しないといけないだろうというものが多かったです。それでも、詞がいいと思うものはちょくちょくありました。AKB48ですら、「恋するフォーチューンクッキー」は、「Wow wow」とか「C’mon baby」という所さえ無くせば、いい詞だと思ってます。
口語で感情だけを述べるストレートな詞というのは、むしろ流行歌の方が合ってるのかも知れませんね。あ、ちなみにこの歌の作詞は松井五郎さん。2000曲以上も作詞してると、感情を言葉にする技術が身についちゃうのかも(^^)。産業ポップス、あなどれないっす。
- 関連記事
-
スポンサーサイト