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『Eric Dolphy / IRON MAN』

EricDolphy_IronMan.jpg 録音の残っているドルフィーの音楽は、大きく2つに分けることが出来ると思います。ひとつがジャズ・スタンダードを演奏したもので、大概の場合で見事なプレイを聴くことが出来ます。しかし、ジャズ、スタンダードを演奏しようとすると、ジャズの典型的な和声進行とドルフィーの独特な歌い回しがぶつかってしまい、ドルフィーのフレージングの方が封印される結果になる事が多いです。もうひとつが、ドルフィーの書いた作品を演奏したもの。なんといっても夭折してしまったミュージシャンなもので、この試みは始められた最初の段階で止まってしまった。しかし残された作品は、もうドルフィーのフレージングをそのままテーマにしたような独特の色彩を放っていて…なんというか、ある種グロテスクにも聞こえる強さと、儚いほどの美しさというふたつの価値観を併せ持ったセンスの持ち主だったんだろうな、と思います。

 後者であるドルフィー作曲作を集めたセッションの録音としては、ブルーノートというモダンジャズの名門レーベルから出たドルフィーの作品に『OUT TO LUNCH』というものが有名。2管のクインテットで、ピアノの代わりにヴィブラフォンが入って、評論家も、また日本のジャズミュージシャンも、こぞって名盤なんて言うのですが…バンドの演奏が固すぎです。楽譜を見ながら演奏するので手いっぱいという感じ。クールなんていう人もいますが、そんなんじゃなくって、単にバンドが音楽をものに出来ていないだけだと思います。いや、コンポジションは素晴らしいと思うんですが…そんなに持ち上げるほどのものとは思えない。

 では、アンサンブルもので、ドルフィーのコンポジションを活かしたまま演奏しきった録音がないかというと…あるのです!それがこの『IRON MAN』。セッションは大きくふたつに分かれ、ひとつは最大で9重奏にまで膨れ上がるアンサンブル。もうひとつは、ベースのリチャード・デイヴィスとのデュオ。まず、アンサンブルの音楽的な傾向は「OUT TO LUNCH」とまったく同じで、ドルフィーのフレージングがそのままテーマになったような、まるでモンクが書いたような独創性あふれる曲。違いは、そのバンドのグルーブ。「OUT TO LUNCH」であれだけ固かったバンドが、ここでは生きたような素晴らしい演奏を見せます!おお、これは格好いい!!曲のテンポも若干あげ目で、本来はこのぐらいのテンポで演奏されるべき音楽なんだろうな、と思わされました。そして、ドルフィーのソロ。…う~ん、ドルフィーのソロのために作られたような曲なんじゃないかというぐらい、ものすごく生き生きとしています。スタンダードを演奏するときに感じる、ドルフィー独特のフレージングに対する制約みたいなものも、まったく感じません。アンサンブルもので、ドルフィーの狙っていた音楽のひとつが、初めて実を結んだ瞬間だったのではないでしょうか。ピアノレスにして、管楽器アンサンブルに絞り込んだ意図も理解できる気がします。
 そして、大編成アンサンブルと対比するように配置された、ベースとのデュオ。これが、音楽の中でもインタープレイによるデュオでしか聴く事の出来ないような、対話的な音楽。向かっている方向も、アンサンブルものに対比させることを意識したかのように、実に美しいところに向かっています。これは素晴らしい。

 さて、このレコードには『CONVERSATIONS』という姉妹盤があります。アルバムの構成もほとんど同じで、同一セッションなんじゃないかと思います。しかし、アンサンブルものが「JITTERBUG WALTZ」とかで、ドルフィーの曲じゃないんですよ。そんなわけで、あのドルフィーの持っている毒のような部分が出て来ない感じ。しかし、そこに入っている、ドルフィーのアルトソロで聴かせるビクター・ヤングの名曲「LOVE ME」と、やはりリチャード・デイヴィスとのデュオ「ALONE TOGETHER」、この2つが素晴らしい。。そんなわけで、もし『IRON MAN』に入っているデュオが気に入ったら、『CONVERSATION』のB面も、きっと気に入るのではないかと思います。






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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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