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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『Andrew Hill / Point of Departure』

AndrewHill_PointofDeparture.jpg モダンジャズに、ブルーノートという名門レーベルがあります。ジャズのレーベルというのは不思議なもので、大手レコード会社が作ったレコードというのは大概つまらなくて、個人経営なんかの小さなレーベルが良い作品を量産したりします。これって、商品として大量に売れるものを作ろうとするのか、それとも作品として良いものを作ろうとするのかの差なんじゃないかなあ。80年代以降は大手レコード会社みたいなつまらないレーベルになってしまったブルーノートですが、50年代から60年代にかけてはすごくいいレーベルでした。

 そんなブルーノートが、60年代初頭ぐらいに力を入れていたのは、いわゆるスタンダードとかメインストリームというよりも、もう少し踏み込んだジャズ。長調でのありきたりなスケールのアドリブとかじゃなくって、モードとかフリーとかの要素を取り入れたジャズって感じです。その時期に、ブルーノートが精力的に録音をしたのが、このアンドリュー・ヒルというピアニスト。しかしこの人、ピアニストとしては正直のところいいピアニストとは思えません。結構たどたどしいし(^^;)。しかし、書く曲が実に理知的。それはセンスがいいとか悪いとかの問題ではなくて、ジャズは今何をやるべきなのかとか、こういう所をしっかりと見据えて、真摯に取り組んだ曲を書くのです。

 ジャズの文脈にあるので、素晴らしい作曲といっても、作曲の裏にある和声とか旋律とかの構築原理と、それを用いて作った和声進行とメロディがセットになったデザインというところに留まっていて、アンサンブル・アレンジが出来ていません。そういう意味でいうと、まだ作曲は完成していない感じ(こんなこと言ったら、かなりのジャズはそうなってしまうだろうけど)。しかしそれを含めても、この独特な曲調には引き込まれます。せっかくの3管なのだから、ここから曲のアレンジを丁寧に書きあげていったら、時代を代表するような作品になったんじゃなかろうか。

 この作品、他にも欠陥がチラホラあります。まず、主役のヒル自身のオープンパートでのアドリブがダメ。ヨチヨチです。あと、3管のうちのひとりであるジョー・ヘンダーソンのソロもひどい。恐らくモード調だからだと思うのですが、ただフレーズを垂れ流すだけで、ソロを構築できていません。自分の得意フレーズを組み合わせてソロを構築するタイプの人は、モード系の音楽になるときつい。。こういう傷がチョコマカあるので、「一点の曇りもない名盤だ!」という気にはなれないのですが、しかしここには、ジャズが進んでも良かったもうひとつの道が見える気がするのです。それは本当に素晴らしい道で、この作品の先をジャズマンたちが作れたら、ジャズは素晴らしいところまで行けたんじゃないかと思えて仕方がないのです。しかし、ジャズはこういった純粋に音楽的な方面に進むのではなく、お客さんと一緒に盛りあがったり、食事のつまみに聴くようなエンターテイメントの道を王道にしてしまった。…極みを目指すのではなく、知らない人に分かってもらおうと精神は、大量消費社会にはマッチしているかもしれませんが、芸術家が選ぶべき道ではないと思うのです。ジャズは、実に残念な道を歩んでしまった。

 いわゆるメインストリームじゃないと言っても、メインストリーム・ジャズの視線で音楽を捉えていて、それを正当に突き詰めた感じ。これがモダンジャズの本流にならなかった事が不思議なぐらい。難解でもフリーでもないので、独特のムードを漂わせながらも聴きやすい音楽です。ぼくはこのアルバムが大好きです。



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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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