
「探偵物語」って、
海外の映画もあり、松田優作主演のテレビドラマ(僕的にはこれが最高!)もありましたが、これは1983年の角川映画です。この映画版にも松田優作さんが出演してますが、テレビドラマとはまったく別の話です。
10日後にアメリカ留学する女子大性・直美(薬師丸ひろ子)に、ボディーガードの探偵・辻山(松田優作)がつけられます。探偵にはナイトクラブで歌を歌っている女性歌手との離婚歴があり、その歌手が殺人事件に巻き込まれ、辻山は彼女をかくまいます。ふたりをかばい犯人捜しを手伝う直美。まだ男とつきあった事がない直美は、しだいに辻山に魅かれていきます。 直美のキャラクター設定と、薬師丸ひろ子さんの演技、そして離婚歴がある冴えなくてすこし翳がある中年男役の松田優作の演技、この3つが素晴らしかったです(^^)。薬師丸さんの役は、恋人がほしくて、でもまだ恋人のいない女子大生なんですが、その青い感じが出まくり。探偵との会話で、「奥さんに逃げられちゃったとか?アハハ」とストレートにきくその無神経さ。ふとしたきっかけから探偵とホテルに入って、彼が回転ベッドのスイッチを切ろうと動いただけなのにビクッと緊張するその反応。どちらも、恋人欲しくてたまらないけどまだ処女って感じが出まくりです(^^)。そしてそれが演技に見えない薬師丸さん、若いしアイドル路線の女優だけど、いやいやどうして立派な女優だと思ってしまいました。松田さんは、昔はカッコいい男だっただろうけど今は疲れた中年になってきた男って感じがよく出ていて、これを演技で表現できるっていうのがまたすごいなと思いました。

そしてラストの空港でのキスシーン。ふたりの身長差が、そのままふたりの年齢差を象徴しているよう。キスされた少女は自分から男の腰に手を回して強く抱き寄せ、彼を求めます。書いていて恥ずかしくなってきましたが(^^;)、ああ、この瞬間にもう精神的には処女から卒業して、大人の女になったのだな…という感じ。子供のころ観た時は、「とってつけたようなキスシーンだな」と思ってシラけたんですが、大人になってみるとこのキスシーンでの力み具合とか、細部にわたる両者の演技力が素晴らしい!ただのキスじゃなくて、いろんなものが表現できてると感じます。ガキだった自分がこれを見ても何も感じなかったのは童貞だったんだから仕方ないね(゚ω゚*)。映画全体としては…まあ角川の青春映画なので、映画というよりも軽いテレビドラマぐらいの完成度かな?
この映画、若いときに友人たちと映画館で見たんですが、テレビドラマの大ファンだった僕はがっかり。一方、薬師丸ひろ子や角川映画が好きだった友人は大満足していました。その後に再び見て、その時も退屈(^^;)。そして今回が3回目。ふとしたきっかけで何となく横目で見てました。2度見て2度ともいい印象がなかったので、ぜんぜん見る気もなかったんですが…いや~良かった。きっと若いときって、ものを判断する物差しが少なすぎたんでしょうね。とんがったものが好きだととんがったものの良さしか分からない、丸いものが好きだと丸いものの丸いものの良さしか分からない、浅い人間だから深いもののすごさが分からない、みたいな。大作でもないし、さっと見て、ちょっといいなとか悪いなとか思って、数日したら忘れてしまうような映画。映画そのもののクオリティも高いとは思いませんが、キャラクターの設定とそれを見事に表現する役者さんたちの技量が素晴らしい映画でした!
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