というわけで、このサントラで重要なのは、僕的には2曲。ひとつは、劇中で使われるラフマニノフの「Rhapsody on a Theme of Paganini」。変奏のくりかえされるピアノ協奏曲ですが、劇中で使われるのは第1主題ではぜんぜんなくって、曲の前半のクライマックス部分のモチーフ。劇的に展開されてきたドラマが、アレグロなB♭minor からアンダンテのD♭Major へとなだれ込むように解決されていく瞬間です。ラフマニノフというのは時代が近現代でロマン派崩壊の時期の作曲家ピアニストでしたが、最後までロマン主義音楽を貫いた人で、このピアノのモチーフに追従していく管弦の響きの美しさ。これはまずい、涙が…。このサントラに感動した人は、ぜひフルで演奏されたピアノ協奏曲版をお聴きする事をおすすめします。ものすごいドラマがあった末に、ここに抜けた瞬間の感動は半端じゃないです。