
このアルバムが発表されたのは1980年で、レンタルレコード全盛期。「YOU & I」なんていうレンタルレコード屋が大ブレイク、ここでバイトしていたマックス松浦さんは波に乗ってこの後エイベックスの大社長にまで登りつめました。「マハラジャ・ナイト」みたいな、超チープなシンセの打ち込みビート系のオムニバスCDをいっぱい作っててクソだせえなと思っていたのに、それが世間に支持されるとは。かくいう僕らも波に乗せられて友達とレコード借りまくり、それをみんなカセットテープに…おっと、これ以上は書けません(^^;)。そんなレンタルレコード屋でしたが、
ビートルズと
山下達郎さんのアルバムを借りるのって、難易度が高かったです。編集盤がやたらとあって、どれがオリジナルアルバムか全然分からない。友達が借りてきた達郎さんのアルバムなんか、曲に被って小林克也さんのナレーションが入ってるし。そんな中、「これはオリジナルアルバムやろ」って友達が借りてきたのが、このアルバムでした。読みは正解、5枚目のオリジナル・アルバムでした。
このアルバム、ポップスにしては楽しくない、タイトル曲なんて変に暗いし面白くないなと思いました。でも「あみだばばあの歌」をみんなで借りて大絶賛してた小学生の感想ですからね、あてにならない感想ですけど(^^;)。そしていま聴くと…暗く感じるのは演奏がべたっとしてるのと、ヴォーカルの声が暗いのが原因かも。知り合いのラジオディレクターさんが「達郎はソロになって数年がいい、80年代はダメだ」と言ってたのはヴォーカルの変化もあるのかな?そしてこのアルバムを聴いてもうひとつ感じたことは、曲や詞に耳がいかず、スタジオ・ミュージシャンの演奏に耳がいってしまうところ。プレイヤーは詞の内容や音楽全体の表現というところを見ていなくて、演奏ばかりに気をつかってる気がしなくもないです。木を見て森を見ず、表現よりも手数…なるほど、フュージョン全盛期の音楽です。
メンバーを見ると、ドラムの青純さん以下、日本の有名なスタジオミュージシャンの名前がズラ~ッと並んでます。このへんからの日本の大衆音楽って、アニソンも歌謡曲もニューミュージックも、プレイヤーがみんな同じ。当時売れっ子だった今さんとかポンタさんによると、レコーディングセッションを1日に2~3件掛け持ちとか当たり前だったらしいです。それだけレコード会社のディレクターさんが達郎さんとかの売れっ子作家の作品をよくチェックしていたとも言えそうですが、逆にいうと日本のメジャーレーベルのディレクターは自分でプレイヤーを開拓できない人が多かったとも言えそう。この状況が、テレビやラジオから流れてくる音楽がぜんぶ同じようなものになった原因のひとつじゃないかと。
でも、これで達郎さんがレベルを下げて生産スピードを上げる大量生産品メーカーみたいになっていったかというとそうはならず、直後に
「FOR YOU」という大傑作アルバムを作るんだからスゴイです。さすが、日本最高峰のポップスのクリエイター(^^)。
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