
旧ソ連の現代前衛作曲家として、いちばんの有名人じゃないかと思うのが、この
シュニトケです。作風はめっちゃアバンギャルド!ロシアのアバンギャルドって本当に無茶苦茶なところがあるというか、ぶっ壊れ具合が半端じゃなかったりするので、正直いって僕には理解不能なものもあります。でも、それが子どもっぽいこけおどしにはまったく聞こえなくて、「う~ん、これは何かあるぞ」と思わせる所が、魅力のひとつかも(^^)。
これはシュニトケが書いた交響曲の第1番で、作曲は1969‐71年の間。シュニトケには交響曲0番なんてものもあるのがまたぶっ壊れてますが、僕は0番は未聴。そして1番なんですが、これがもうわけわかんないです。まず、第1楽章の構造が僕にはぜんぜん分からない(T_T)意味ありげなカリヨンが鳴り響いて、オケがアバンギャルドにブワ~ンと鳴って、構造が追いきれない、音の印象だけにぐわっと潰されていく感じ。そして、5分ほどしたらいきなり拍手が起こって音楽が一回止まります。う~んなんだこれは…。そして、よく聴くとワーグナーのワルキューレのメロディとか、色んな音楽がグッチャグチャに入ってきます。でもですね、なんか「うわあ」って感じで、面白くて聴いちゃいました。
そして第2楽章、ピアノとヴァイオリンだけで思いっきりジャズのインプロヴィゼーション。しかもちょっとフリージャズぎみ。いやあ、交響曲でピアノとヴァイオリンのデュオでインプロヴィゼーションの楽章とかあっていいのか…アヴァンギャルドです。
な~んて感じで、これはアヴァンギャルドというよりデタラメなんじゃないかと思いきや、4楽章が見事。聴いたことのあるような音楽がチラチラ聴こえつつ、最終的にはオルガンと管が見事な構造を紡ぎます。そして、現代音楽特有の複雑な響きがメッチャ魅力的。でも、いきなりマーチが聴こえてきたり、やっぱりアヴァンギャルドなんですけどね。さらにその後に来る楽章「Applause」は1楽章の再現部なんですが、コーダ部分でいきなり調を取り戻して和弦がクレッシェンドでfin。これはカッコいい…。
というわけで、聴いていて振りまわされまくりました、でも面白い!シュニトケって、旧ソ連の作曲家なのに、新ウィーン楽派系の音楽とか色んな新しい作曲技法を片っ端から身につけていったそうです。でも、ある時に「これは技法に振りまわされて自分がいない」と感じたみたいで、新しい技法も昔の技法もみんな使うという「多様式」という音楽に踏み込んだ、なんて言われてます。自分の心が欲求した音楽は、ジャズでもクラシックでも前衛でも全部統合してしまう、みたいな感じなんでしょうか。だとしたら、1楽章はもしかしたらアレアトリーに近い方法なのかも。そして2楽章は前衛ジャズ、他にもコラージュとかいろいろ出てきて…みたいに捉えれば、なるほどいろんな作曲技法や様式が飛び交っていて、たしかに多様式かも。僕のシュニトケ初体験はこの曲じゃなかったんですが、もしこれが初体験だったらついていけなかったかも。でも今聴くと、「おお、こんなに自由な音楽があるのか、メチャクチャおもしれええ!」って感じで、最高に刺激的でした!
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