
ロシアの現代音楽作曲家の代表格
シュニトケ。その交響曲第2番は、「セント・フローリアン」という名がつけられています。始まりは無伴奏の男声合唱ですが、これが思いっきり正教会系の合唱で、恐ろしいほど美しいです。過激で破壊的な第1番の次がまったく正反対の音楽、これは驚き…と思いきや、すぐにピアノやグロッケンが不協和音で入ってきてアヴァンギャルドな弦楽につながります。う~ん、さすがシュニトケ( ̄ー ̄)。ところが、この弦が1番みたいにクラスター状ではなくて、怪しい響きながらも実に巧みな和音を作りだしていて鳥肌もの。さらによく聴くと…この怪しい弦の主旋律って、最初の男声合唱のメロディをカノン化して引き継いでないかい?これは第1楽章を聴いただけでも大傑作と思わざるを得ない、すげえ…。
さて、シュニトケの交響曲第2番ですが、各曲に「キリエ」「サンクトゥス」「アニュス・デイ」などの名前がついてるので、これはキリスト教の典礼を意識しているのでしょう。そして、多くの楽章が、美しい無伴奏男声合唱から始まり、そこからオーケストラが続く感じ。このオーケストラが非常にアヴァンギャルドであったり、反対に美しかったり、はたまた不穏でありながらも実にレクイエムっぽかったり。どうなるのかが見当がつかず、1時間近い演奏時間なのに魅了されっぱなしでした。そしてこれだけのドラマの最後の、ピアノの低弦のバス、弦の静かなのにものすごいサウンド、そして繰り返される美しい混声合唱にたどり着いた瞬間のなんとも言えない感覚。いやあ、すごいです。
キリスト教圏からはるか離れたところに住んでる僕は、
東方正教会系であるロシアの音楽事情なんてなおさらわかりませんが、しかしあれほど美しく、また聖書に準じる宗教音楽で、ここまで不協和な音を同時に鳴らすというのは、大丈夫なんだろうかと思ってしまいます。たとえば日本国歌や雅楽を不協和音だらけにした作品を作ったら、色んな所からクレームやら圧力やらかかりそうじゃないですか。それを正教会圏でやってしまった感じ。それをここまでやるというのは…根底には、ロシア・アヴァンギャルドの精神がある気がします。日本や英米でアヴァンギャルドといったって、せいぜい音がちょっと過激とか、それぐらいだと思うんですよ。でも、
ロシアのアヴァンギャルドは、本当に政治や宗教や文化なんかのマジョリティーを破壊しに行くというか、捕まって絞殺刑になる覚悟でやっているぐらいの感じなので、迫力が段違い、しかも技巧に優れているものがおおいです。
西洋最高の美しさを誇る正教会系の音楽と、ロシア・アヴァンギャルド最高峰の音楽が見事に調和した驚異の交響曲。いいアンプとスピーカーを使って爆音で聴いていたら、天国に連れて行かれそうになっちゃいました(^^)。超がつくほど大推薦、未体験の方はヘッドホンやミニコンポなんかで聴かず、財産はたいてでも良いアンプとスピーカーを買ってきて、爆音でぜひ!
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