フレッチャー・ヘンダーソンが自分のバンド解体後にアレンジャーとして参加したのが、クラリネット奏者ベニー・グッドマンのビッグバンドだったそうです。僕はベニー・グッドマン体験の方が先で、グレン・ミラーとかあのへんのビッグバンドをひと通り聴いていた時に手を出したのがこれ。
ベニー・グッドマン・オーケストラのレコードでいちばん有名な1枚ではないでしょうか?!
1938年のライブなので、世界大戦直前のジャズそのままです。当時、アメリカ音楽の一番人気はジャズだったと思うので、これこそアメリカの音だったんでしょうね。日本の太平洋戦争前後を描いたテレビドラマを見かける事がありますが、そこでよくラジオからジャズが流れてくるシーンってありませんか?まさにあの音楽です。フレッチャー・ヘンダーソンの頃のジャズ・エイジなジャズと、デューク・エリントンあたりのモダン・ビッグバンドの中間で、アレンジも簡明で分かりやすい、1曲も短い、ムーディーでもあり楽しくもある軽音楽という感じ。若いころは
ジョン・コルトレーンあたりのモダン・ジャズの洗礼を受けた僕だったので、こういうジャズは「ヒップなおじいちゃんが聴く古いジャズ」という印象だったんですが、いま聴くと
これぞエンターテイメントで楽しいです。
ジャズはもとより、アメリカのブラスバンドの歴史も、コープランド当たりのクラシックも、映画音楽も、その背景に見えて、アメリカ音楽がギッチリ詰まってると感じます。
ベニー・グッドマン自身のクラリネット・ソロは意外と多くないんですが、「ボディ・アンド・ソウル」あたりで聴く事の出来るソロは、シャルモーが美しく、クラシックの教育を受けた経験があるんじゃないかと思ってしまいました。
ルイ・アームストロングやガレスピーの演奏がいかにも「ジャズバンドに入ってから成長した叩きあげ」という感じなのに、グッドマンはアーティキュレーションのつけ方とか、とってもクラシックなんですよね。
他では、ボディ・アンド・ソウルのピアノがメッチャ味があっていい…クレジットを見ると、
テディ・ウイルソンかライオネル・ハンプトンあたりみたい。バド・パウエル登場以前のジャズピアノって、ラグタイムとかブルース的で気持ちいです(^^)。それから2枚目3曲目「ロック・ロモンド」での女性ヴォーカルが、ジャズのようなカントリーのような感じですごく良かったです。マーサ・ティルトンという人みたいですが、これは落ち着いていいなあ。
アメリカのエンターテイメントの花形だった時代の古き良きジャズ。それが、カーネギー・ホールというアメリカのクラシックのメッカに進出したという歴史的なコンサートでもあったのかも。僕にとって合衆国が素晴らしく見えるのって、開拓時代からこのあたりまで。以降の病んだアメリカに沸々と出てくるサブカルチャーのパワーも好きですが、聴いていてホッコリできるのはやっぱりこの辺までかなあ(^^)。
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