バド・パウエルの、1949年と51年の2つのセッションを収録したブルーノート盤です。ブルーノートは「Amazing Bud Powell」というバド・パウエルのLPシリーズを5枚出してまして、これはその第1弾。バド・パウエルの全盛期は40年代末から51年までなんて言う人もいまして、そういう意味でいうと、ブルーノート盤ではこの1枚だけが全盛期にひっかかってる事になります。ただし、僕はこのシリーズのvolume2と3を聴いておりませんで、本当に51年までが全盛期なのかどうかは不明です(^^;)。
49年のセッションのメンバーは、パウエルに、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(dr)のトリオと、それにファッツ・ナヴァロ(tp)とソニー・ロリンズ(ts)が入ったクインテットの演奏。51年は、カーリー・ラッセル(b)とマックス・ローチ(dr)とのトリオです。なるほど、どちらのセッションも58年の「シーン・チェンジス」という有名なレコードと比べると、ビバップらしい熱さを感じるバド・パウエルを聞く事が出来ます。僕は「シーン・チェンジス」よりも、こっちのアルバムの方が好き。でも、ヴァーヴの「
ジニアス・オブ・バド・パウエル」やROOST盤「バド・パウエル・トリオ」に比べると、キレと勢いがない感じ。単純に、
狂乱の演奏をするパウエルが好きなのに、このレコードのパウエルは手数が少ないです。1曲目の「ウン・ポコ・ロコ」なんて、ソロ中でけっこう考えて止まっちゃってるし(^^;)。そういう意味でいうと、アップテンポの曲より、スローナンバーのアプローチの方が聴いてて面白かったです。
でも、そう感じてしまう理由のひとつって、パウエルの演奏だけじゃなくって、僕が持ってるのが、ボーナス8曲入りのCDという事もあるかも。このボーナスというのが、要するに没テイクなんです。ジャズのこういうレコーディング・セッションって、曲ごとに録音していって、テイクごとに「ここをこうしよう」とか「もう少しテンポをあげよう」とか「ごめん、アドリブがイマイチ決まらなかった」とか言って、録音するんです。で、いいのが録音出来たら、その曲は終わり。普通は、録音のノイズとか何かの時のために、少なくとも2テイクは残す、みたいな感じで進めます。こういうふうに作ってるものなのに、没テイクを全部入れるって、レーベルの良識を疑っちゃうなあ。それでも入れるなら、没テイクは資料として最後に集めておいてくれればいいのに、同じ曲を連続で3曲とか並べるもんだから、ぜんぜん楽しく聴けないです。このアルバムの1曲目なんて、ソロがぜんぜん弾けてない別テイクから入れてあるし。そんなの信じられないし。こういう所に配慮しないから、買収された後のブルーノートって嫌い。売ることしか考えてない、音楽への愛が足りなすぎですよね…。このアルバム、没テイクなしで聴きとおしたら、もしかしてもっとよく聴こえるのかな?
というわけで、僕が聴いたバド・パウエルのレコードの演奏でいうと、悪くはないけどグレイトなパウエルが聴けるというのじゃないかな?
バド・パウエルというとブルーノート盤がひたすら推薦されるけど、僕的にはブルーノート盤は有り難がって聴くほどのものじゃないと思ってます。若いときの僕が、Volume2から4を買わなかったのはけっこう正しい判断だったかも…きいてないから分からないんですが(^^;)。
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僕はこの盤は大好きですが、没テイクはカットして別に落とし直してから聴いてます。チャーリー・パーカーのアルバムでもそういうのがたくさんありますね。
ボーナステイクも、せっかくのアルバムの流れを壊すのが多いので、基本はカットして聴いてます。。。