セシル・テイラー や
アルバート・アイラー のグループでドラムを叩いていた生粋のフリージャズ・ドラマーのサニー・マレイ、1966年発表のリーダーアルバムです!ESPレーベルからリリースされたアルバート・アイラーの『
Spiritual Unity 』はフリージャズの大傑作アルバムで、そこでサニー・マレイのドラムに驚いた僕は、同じESPからリリースされたこのアルバムを発見して即買い。ジャケットもカッコよかったしね(^^)。メンバーはJacques Coursil (tp)、Byard Lancaster, Jack Graham (a.sax)、Alan Silva (b)、全4曲入り。
1曲目は管楽器隊が3人同時に吹きまくり、あいさつ代わりといったところでしょうか。フリージャズのセッションでありがちな事だな…と思ったら、全員が抜けてアラン・シルヴァのコントラバスのそろになってエンディング。なるほど、フリーの混沌さを直接表現しようと思ったら、バーッとやってサッと止めるこういうナンバーはありかも。
というわけで、このアルバムの本領は2曲目からでした。2曲目以降はすべて、3管でテーマを吹いたら、以降はオーダー順に管楽器のインプロヴィゼーション、そして最後にテーマ演奏という形式です。ジャズですね(^^)。2曲目は、コーシルさんかランカスターさんか分かりませんが、ひとり目のアルトサックスのソロが強烈!!いやーこれはメッチャかっこいい。。それにからみつくアラン・シルヴァのコンバスはずっとアルコで、ゆらゆらとグリッサンドを繰り返しててヤバい感じ。おおーこれはカッコいいな。。そして、その後ろで叩いてるマレイさんのドラム、スッパンスッパンと来るんじゃなくって、ずっとシンバルをかき鳴らしながら、皮ものの太鼓が「ドンドンドンドン…」とクレッシェンドしてきます。
切れじゃなくて、全体の圧力でドバーッと押しつぶしてくる呪術的な感じで、このドラミングがアルバムの印象そのもの なんじゃないかと。プレイを細かく聴くんじゃなくて、感覚的に圧力をずっと感じてる感じです。
3曲目「Angels & Devils」は、ジャック・コーシルが書いたナンバーだそうです。デュナーミクは抑え気味のナンバーで、テーマのおどろおどろしい感じが、60年代フリージャズっぽくてヤバい。しかし、そのうしろでのたうちまわるアルコベースとドラムがヤバい、2ビートや4ビートのリズムキープなんて絶対しません。「グオ~ン、ズワ~ン」て感じで、ゾクゾク来ました。
まるでハードバップのように、テーマを演奏した後にオーダー順にソロを取る単純な構造になのに、惹きつけられてしまいました。それって、構造じゃなくて、この呪術的なヤバいムードと演奏にあるんじゃないかと。テーマの作り方も雰囲気も、オーネット・コールマンやアルバート・アイラーといったフリージャズのプレイヤーが作ったテーマに似ていて、
フリージャズ勃興期の雰囲気がプンプン、ドロドロでヤバい 感じなのです。昔は、このぐちゃーっと潰してくる感じが「キレがないな」「うまくないな」なんて感じたんですが、いま聴くと「すごい圧力だな」と感じて、面白かったです。大名盤じゃないかも知れないけど、60年代フリージャズの良作のひとつじゃないかと。そうそう、僕が持ってるのはLPなんですが、LPの大きな写真は飾っておきたくなるぐらいカッコいいです(^^)。
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