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Category: アート・本・映画 etc. > 本(漫画・サブカル)   Tags: ---

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コミック『巨人の星』

Kyojin no Hoshi_comic 梶原一騎原作のコミックと言えば、あしたのジョーに並んでこの「巨人の星」も大名作!子どものころにテレビアニメはそんなに面白いと思わなかったんです。ところが、コミックを読んだら…うわあああこれはめちゃくちゃいい。テレビアニメの「巨人の星」を「巨人の星」と思ってはいけない、原作漫画の素晴らしさはそのへんの直木賞作品に優るとも劣らぬ文芸作品レベルの大傑作。オトコの生きざま、美学の本なのです!

 たんなる努力と魔球の物語にしか見えなかったアニメ版「巨人の星」と、コミックのどこが違うのか。例えば、物語の終盤で、主人公の投手・星飛雄馬が、ライバルの打者・左門豊作に手紙をあてたシーンがあります。そのシーンで、星は左門に「貴兄」という二人称を使うんですよ。これは日本の手紙のマナーのひとつですが、まだ子供だった僕はこういう言葉づかいを知らず、感動したのです。まず、親しい人に「貴」という言葉で尊敬をあらわし、また、同等の人なのに「兄」と呼ぶ事で自分をへりくだり、相手を高く見るわけですよね。昔の日本が持っていたこの美学、今の社会にどれだけ生きているでしょうか。自分の権利ばかり主張して、政治でも日常でも、エゴをこじらせたような出来事ばかりが目につく今の日本が失った美学が、ここに生きていると感じました。今、神戸でも大阪でも、電車に乗って、老人が立っていようが何しようが、子どもも若い人もサラリーマンもお姉さんも、スマホいじって席から立ちません。東京もそうでした。見ていて反吐が出そうなエゴ丸出しの醜い社会なんですよ。政治のニュース観ていても、やりたい放題のエゴイスティックな事をやっておきながら、謝るどころかふんぞり返って出鱈目な言い訳をして押し切ろうとしている人がトップだったり。日本は、金銭的な豊かさとひきかえに、大事なものを失ったようです。「巨人の星」は、戦後にアメリカ文化を吸収する事と引き換えに失われていった日本の美学を訴え続けた作品なのでした。

 この漫画に貫かれている美学が、現代にふさわしいものかどうかは、一概には言えないと思います。正直いって、微妙なところも多いかも。でも、行き過ぎた還元ひとつをとってあげ足を取るのではなく、その根本にあるもの「全力で誠意を示す」「相手を敬う」「命がけで事にあたる」という姿勢は、たしかにかつての日本文化に共有されたものでありながら、現代に失われたものだと感じるんですよね。この漫画が描かれたのは敗戦国日本が息を吹き返した高度成長期で、同時に親や先祖が戦争で死に、古い文化を伝える人が死滅した後に育った人が、社会を担い始めた時代です。梶原一騎はその社会を見て、かつてあった日本の社会美学を伝えようとしたのではないかと思います。江戸時代、窃盗や辻斬りなどやりたい放題の悪党に成り下がった武士たちを戒めるために、「武士道」という倫理規範が作られたそうです。コミックを通してそれを訴えた現代版武士道が、梶原一騎の「巨人の星」であり、狩撫麻礼の「迷走王ボーダー」なのだと思います。テレビアニメは凡作と思いますが、コミックは日本漫画に残る大傑作、大人が読んでも胸に刺さるものがある人生の書と思います!

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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