『Sleepy John Estes / The Legend of Sleepy John Estes』

SleepyJohnEstes_Legend.jpg 同じく、戦前ブルースの名録音です。このスリーピー・ジョン・エステスという人は、ライトニン・ホプキンス以上に声がしゃがれていて、高音になると音がふらついて、しぼりだすような声になるんですが…これが実に味わい深く、渋いのです。初めて聞いた時「うわあ、すごくいい…」と、一発で引き込まれてしまいました。

 そして、このアルバムで特に心を揺さぶられたのが、1曲目の"rats in my kitchen" という曲でした。「台所のネズミが俺の食い物をみんな食っちまう ~ネズミが俺に言うのさ、おいジョン、食い物が欲しいなら出直してこい ~俺は人に言われたようにガンバってきたが、体を壊して目も見えなくなった。そうなると親友も俺を見捨て、家族ですら俺を構わなくなる ~街角に立ち、壁に身をもたれ…」だいたいこんな詩です。いやあ、こんな詩を歌われると、目の前に、綿花農場ばかりの当時の南部アメリカの黒人の生活が一気に広がってきます。で、この音楽がまたいい。ギターのほかに、ピアノ、ウッドベース、ハーモニカがつくんですが、これがいずれも素晴らしい。曲のテンポは、普通のブルースよりもさらに遅い感じで、フワーッとした感じ。ピアノはブルーノートをたゆたい、ベースは凄く柔らかい音で「ポーン、ポーン」という感じ。レイドバックした心地よさと、暗鬱とした感じの両方を含んだような、独特なムードです。そして、ハーモニカのハミー・ニクソンという人のプレイが泣ける。ブルースハープにしろハーモニカにしろ、ブルースで使われる吹きものの味わいといったら、何とも言えない情感に溢れかえっています。

 スリーピー・ジョン・エステスという人は、戦前のブルースマンの中で、それほど大御所というわけではないと思います。しかし、このレコードは本当に素晴らしい。あまりに聴きすぎて、随分と擦り減ってしまいましたが、僕はこのレコードを死ぬまでにあと何十回も聴くんじゃないかと思います。



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Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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