「
ハーリ・ヤーノシュ 」でコダーイを知った僕は、「ちょっとだけ民族色がある、標題音楽的な後期ロマン派だなあ」と思ったのでした。ところが、
コダーイの無伴奏チェロソナタを聴いてビックリ、これが超硬派 な純音楽だった!子どもっぽい音楽を作る人だと思っていたのがまったく真逆、感動してしまいました。これはマット・ハイモヴィッツという有名なチェリストが演奏した、近現代のチェロ独奏曲を集めたCDです。
いつぞや
アルゲリッチが演奏したラヴェル「夜のガスパール」 の感動を伝えたことがありますが、このCDのコダーイの無伴奏チェロソナタの演奏は、あの凄さを感じました。ピチカートでリズムを取りながらメロディを奏でるとか、スコルダトゥーラで部分的にハンガリーの舞曲っぽいのが出てくるとか、言おうと思えば演奏技巧や作曲技術的な事を言えなくもないです。でも、そういう所を見ている音楽じゃない、こうしようとかああしようではなく、自分の内側から出てくるものをすべてそのまま音の形と表現にあらわせてしまっている感じで、ある意味ジャズっぽいです。こういう強烈さって、ジャズやロックが好きな人なら絶対に分かると思うんですよね。この曲、チェロの演奏技法を大きく広げた、現代の無伴奏チェロ曲の原点と言われているほどの大名曲らしいですが、こんなすごいのを知らなかったなんて、人生今まで損していた気分(^^;)。
ブリテン「無伴奏チェロのための第3組曲」、これも本当に素晴らしかった です。ブリテンって、管弦楽を書くとやたらに保守的で何かの曲のコピーみたいで僕は好みじゃないんですが、器楽独奏となると突然すごい曲を書く時があります。ギター独奏の「ノクターナル」もすごかったですし。この曲、初演はブリテンと妖しい関係にあったチェリストのロストロボーヴィチだったそうです( ̄ー ̄)。
べリオとヘンツェの無伴奏チェロ曲は、指揮者&偉大な音楽パトロンだったザッハーの誕生を祝うために、ロストロボーヴィチが12人の作曲家に委嘱したもののうちの2つだそうです。え、ベリオに委嘱したら「ベチッ」とか「ギギー」とか、そういう曲になっちゃうんじゃないの?と思いきや、これが実によく出来た曲。たまにはこういうストレートな現代音楽があってもいいですね(^^)。一方、もろにポストモダンでまとまりのいい曲を書きそうなヘンツェの方が現代音楽チックかも。でも、これもいい曲。
これだけ外れがないというのはどういう事でしょうか。ひとつは
ハイモヴィッツの演奏が、解釈や表現を含めて凄い という事なんでしょうが、もうひとつは選曲が絶妙なのかも。このCD、英語タイトルは「The 20th Century Cello」となってますが、20世紀の名曲を集めたというよりも、これらの曲に共通しているものをハイモヴィッツさんがうまく捉まえたという事なんじゃないかと。これは見事なCD、大推薦です!!
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