
若い頃、サイケデリック・ロックに狂った僕ですが、サイケなら何でも良いというわけでもありませんでした。むしろ、痛い目を見たことの方が多かった気が(^^;)。このブログで、サイケについて悪い印象の日記が少ないのは、実はつまらなすぎるアルバムはとっくに手放したからというだけだったりして(^^;)。そんな中、このアルバムはなかなか微妙で、玉石混合。サイケの名盤として名高い
カントリー・ジョーの1967年デビュー作です。
電子オルガンの音が、初代仮面ライダーのBGMみたいな音で時代ががっててサイケらしさを出してます。この電子オルガンのイメージが、僕にとってのこのアルバムの半分。ここはいいんですが、アルバムの残りの大半は、どうも苦手だったのでした。というのは、大半はマイナーペンタ一発だけで演奏できる単純な曲。ああ、サイケと言ってもドラッグで頭がお花畑になっちゃってるフラワーロック系か‥。サイケと言っても、僕は
ドアーズとかファームとか
サイケ期ピンクフロイドとかに燃え上がっていたわけで、こういう素人で単純なサイケは苦手だったんですよね。ただ、久しぶりに聴いて思ったのは、ハードサイケやレベルの高いグループと比較するからつまらなく感じてしまうんであって、当時の西海岸のクラブの雰囲気ってこうだったんだろうなと思ったら、急に楽しめました(^^)。でも、その程度ならわざわざ買って聴くほどのものでもないですよね。
それだけだったら僕はこのレコードをとっくに売り飛ばしてたと思うんですが、すごくいい所もあったのです。それはダークでサイケなインスト長尺曲「Section 43」。この曲だけ、
アイアン・バタフライのガダ・ダ・ヴィダ的というか、ドアーズのジ・エンド的というか、実によく出来てるんです。この曲だけプログレッションにもクリシェが出てきて、楽曲様式も展開部があったり、バンドもジャムってるだけじゃなくってきっちり作曲されてます。
「西海岸サイケは構成された長尺曲に良作あり」ということわざがありますが(僕が作ったんですけどね^^;)、まさにこの曲はそれ。なんで1曲だけちゃんと音楽を作ってて、あとは2~3分の歌謡形式のテキトウな曲なのかは謎です。。
というわけで、
つまらない所はひたすら退屈、いい所ははサイケの良さギッチリという玉石混合なアルバム。サイケって、スリーコードのブルースしか演奏できないレベルのミュージシャンが、何とか工夫して面白い事をやろうとしてるだけに聴こえる事が多くて、「スリーコードで面白い事をひねり出そうと苦労するんじゃなくて、スリーコード以外を使えるようになった方が、面白い音楽を出来るんじゃないの?」と思ったりもします。実際、レベルがアマチュアなバンドだらけのサイケの時代が過ぎると、ロックもポップスもプロミュージシャンの時代となり、マイナーペンタしか演奏できない人たちは一掃されました。普通に考えれば、それでいよいよ面白いロックが聴けるようになりそうなもんですが、実際には演奏レベルは上がったのに音楽は画一化された歌謡形式の曲だけになり、もっとつまらなくなったという。。もし、サイケのグループたちが、ペンタ一発じゃなくてもうちょっと音楽の勉強をして、そして「Section 43」みたいな曲を目指していたら、アメリカン・ロックは産業ロックに埋め尽くされず、いい歴史を歩めてたと思うんだけどなあ。。
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