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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『CECIL TAYLOR / GREAT PARIS CONCERT』

CecilTaylor_ParisConcert.jpg セシル・テイラーという人は、フリージャズのビッグネームとして名の知られた人です。私は、この人が大好き。もしかすると、ジャズとかフリージャズという枠を取り払った中でも、飛び抜けて好きなミュージシャンのひとりである気がします。音楽家としてのレベルが高すぎて尊敬すらしています。中でもこのアルバムが特に好きです。絶対の1枚です。

 しかし、日本のメディアとかジャズファンの中で、セシル・テイラーという人は凄く勘違いされている人なんじゃないかと思えてなりません。これが僕にはとても悔しい。「思いついた事を自由に弾く」「フリーだ」、ひどいのになると「デタラメだ」…。ところが、実際のセシル・テイラーの音楽というのは、楽曲構造的には、西洋音楽の典型的な手法を馬鹿丁寧なほどに踏襲しています。第1主題、第2主題、対立…というように、各パートの役割が恐ろしいほどに明確。構造面でいえば、スタンダードジャズよりもよほど強い構造なのです。いや、これを「フリーだ」とか「デタラメだ」という人って、構造なんてまるで見えてないんだろうと思います。
 で、セシル・テイラーの音楽というのは、こうした構造にジャズならではのオープンパートが付け加わる感じ。オープンになると、考える時間もないぐらいの物凄い速度で、一気にピアノを弾き切る。ここはフリー的というか、かなり迫力ある表現になる事が多いのですが、同時に調的重力も強く感じます。ただし、これはピアノだから否が応にもそうなってしまうだけなのかもしれません(たとえば、白鍵だけ弾いていれば7音音階的な色彩は発生してしまうわけで…)。
 そして、この楽曲の構造という側面と、苛烈なオープンパートのバランスが素晴らしいのです。このアルバムでいうと、1曲目の「STUDENT STUDIES 1」という曲のテーマの作りがまず鳥肌モノ。これ、絶対に即興じゃないだろ…。あるテーマとそのオブリ、対立、展開部。こういう構造がもの凄く鮮明なんですが、それぞれの要素にかなりアドリブが入っていて、これが音楽を迫力あるものにしていきます。このアドリブの格好良さというのは、その場で新しモノを作るから格好いいんじゃなくって、完成度の高いデザインされたの形を、更に表現力あるものにするためにはどうすればいいか…という形で行わる感じだから、音楽がどんどんい生々しく動き始めるんじゃないかと思うのです。デザインとしては「タタタタタン」みたいな音を、「ズジャララァジャァ~~」と弾くみたいな感じ。そこにインタープレイも加わって、時に音がつけたされたり間引かれたり。音楽が生き物ののように跳ねまわりながら、しかし最初からデザインしていなければ絶対にこんな見事な構造は絶対に出来ないという形がどんどん彫り上げられていく。かなり集中して聞いていないと、テーマパートからオープンパートへの意向も、あまりにスムーズ過ぎて分からないぐらいに良く出来ている。同じような見事さは、4曲目「NIGGLE FEUIGLE」でも聴くことが出来ます。こちらは、発展させやすい形の主題の作り方が素晴らしすぎます。この発展性は、ベートーヴェンの5番を上回るんじゃなかろうか。。

 芸術音楽のような表現で、音楽が一番生きる形にしようと思ったら、構造面だけをきれいにデザインして、あとは優れた演奏家の器量に任せて好きに演奏してもらう、というのが最上の方法なんじゃないかと思えてしまいます。作曲を頑張りすぎると、それを再現するだけでアップアップになって演奏が死ぬし、ジャズみたいに演奏家の個人技披露大会みたいにすると、楽曲がえらく退屈なものになるし。しかし、ここに聴かれる音楽は、作曲と演奏とか、フォームとフリーとか、そういう境界が見えなくなるぐらいのレベルにまで達してます。もの凄い音楽です。

 僕は、セシル・テイラーをフリージャズの人と思っていません。音楽の最後の領域に踏み込んだ、まじめに音楽を追及すれば辿りつく場所に踏み込んだ人なんだと思います。当たり前そうに見えて、商業音楽に溢れかえったレコード産業界の中で、こういう人に辿り着くのは結構大変です。セシル・テイラーはジャズ系の演奏家でもあるので、好不調の波が激しかったりして(特にプレイのアイデアは躁鬱なんじゃないかというぐらい^^)、当たり外れの多い人でもあります。セシル・テイラーは僕にとって絶対の音楽家ですが、人に薦めるならまずこの1枚なんじゃないかと思っています。




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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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