プロコフィエフのヴァイオリンソナタの伴奏をするため、もうひとつ参考にしたCDがありまして、それがこれ。ロシア出身の女流ヴァイオリニストのムローヴァさんは、僕の好きなヴァイオリニストのひとりです。このCDなら、ピアニストはムローヴァさんの伴奏みたいに演奏するんじゃないかと思ったのです。アルゲリッチのピアノは伴奏なんてものじゃなかったのでね(゚∀゚*)エヘヘ。。そして、このプロコフィエフがめっちゃくちゃ良かった!!
ストラヴィンスキーのディヴェルティメント。もともとはバレエ音楽「妖精の口づけ」を管弦楽組曲化したもので、これはさらにヴァイオリン&ピアノ編成に直したもの。ストラヴィンスキーって、どの曲も色んな編成にアレンジし直します。ストラヴィンスキーの曲を演奏した時に権利の処理がちょっと面倒になった事がありまして、その時に「他の人のアレンジは絶対に許されなくて、権利を持ってる財団がまためんどくさくて…」な~んて話をきいた事があります。この曲は「
春の祭典」みたいにドカ~ンと来る曲じゃなくって、軽めでルンルンな雰囲気の曲。
ラヴェルのヴァイオリンソナタ。これはいい!!ラヴェルは室内楽ソナタを何曲か書いてますが、ヴァイオリンとピアノ編成のものは意外にもこの1曲しか書いてないみたい。これがラヴェルらしい響きを持ったメッチャいい曲。ある意味でラヴェルよりもう少し後のプーランクあたりが書いていてもおかしくなさそうな、軽くて都会的な感じがいいです(^^)。
プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番。これが驚きで、クレーメル&アルゲリッチの演奏だと激情のロマン派音楽のようだったのに、こっちの演奏だとまるでフランスのサロン音楽みたい。いや~プレイや録音が違うとこうも変わるものなんですね。僕は演奏というものは基本的にエスプレシーヴォであればあるほど好きだし、クレーメル&アルゲリッチの演奏はすべてと言ってもいいほど好きなんですが、プロコのヴァイオリンソナタ2番に関しては、ムローヴァ&カニーノの小粋に歌うぐらいの演奏の方が合ってる気がします。う~んいい曲いい演奏だ。。
ムローヴァさん、旧ソ連から亡命するために、外国を演奏旅行中にタクシーで国境を越えて共産圏を脱出、さらにそこで政治的庇護を受けるために何日も潜んだという、
ゴルゴ13の話にありそうなほどのドラマチックな亡命をした人です。そんな命がけの事を決行した人なのに、ここでの演奏は節度を保った知的な感じ。人間性と演奏ってのは、別物なのかも知れません。別の言い方をすると、曲によって自分を変えられるほどプロフェッショナルなのかも。これはおすすめの1枚!
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