僕的には、LPのA面すべてを占めている「ニューポート・ジャズ・フェスティバル組曲」のアレンジセンスが、このアルバムでいちばん魅力を感じました。とくに組曲の1曲目「Festival Junction」が良かった!曲の最初はルバートでジミー・ハミルトンのクラリネットのアドリブ、バッキングはピアノだけで、それも和声を提示するだけ。これに木管がオスティナートを刻んで絡み始め、次には金管が木管のオブリを作って…つまり、ホーンセクションのヴォイシングだけでなく、オーケストラ全体が対位法的なんです。ドッカ~ンとやるエンターテイメントという印象が強くて苦手だったビッグバンド・ジャズでしたが、これは「おっ」と思ったところでした。こういうアンサンブルの妙は、このアルバムだけでなく、60年代の代表作「The Popular Duke Ellington」でも聴く事が出来るので、なるほどエリントンがビッグバンドの中で一目置かれるのは、作曲やらプレイヤーやらバンドリーダーとしての技量よりも、このアレンジ能力にあるんじゃないかと思いました。