
もうひとつ、モロッコ音楽のCDを。これは、兵庫教育大学の民族音楽学の教授である水野信夫さんという方が、1982年と84年に現地に入って録音したもの。発売は日本のキング・レコードです。これって、録音してきたのを、後からキング・レコードに交渉して買い取ってもらったのかな?
このCDでも、語られているのは7世紀のコルドバの音楽家
ジルヤーブでした。そして
ジルヤーブ作ったナウバが、アル・アンダルス音楽(アラブ・アンダルース音楽)の大元になったんだそうです。このナウバがレコンキスタ(キリスト教の国土再征服運動)にのっかって、モロッコやマグリブになだれ込んだんだそうです。
ナウバはもともと異なる旋法にもとずく全24曲として体系づけられたんだそうですが、それが口承だったもんで、今では半分以上が失われたんだそうです。やっぱり紙に書き記すという文化を作った西洋は、文化や知識を次の世代に残すという意味で偉大だったんだな…。モロッコはナウバを残すのに五線譜化していて、いまだに口承のアルジェリアとはちょっと様相が違うそうで、とくにフェス、タンジール、マラケシュという都市にある市立音楽院がその伝承をになっているんだそうです。中心楽器はラバーブという弓奏楽器。
そのナウバの演奏が、このCDの4曲目でした。なるほど、OCORA盤のウスタード・マッサーノ・タージがやってた音楽にすごく似てる!ただ、こっちのCDの方が録音に臨場感があるのと、ものすごい大勢で歌ってるように聴こえます。客席の声がすごいガヤガヤして、ときどき客席から手拍子が入るのがいいな(^^)。これはいいな。。あ、そうそう、3曲目は子どもたちにナウバを教えてる風景の録音なんですが、子どもたちの声がかわいい(^^)。
そして、面白かったのが、1~2曲目に入っていたもモロッコの中南部の都市であるマラケシュの広場で録音したという大道芸人の音楽。1曲目は、へびつかいの音楽。想像通り、ピロピロした笛を吹くあれです!オーボエ系のガイタ1人と片面太鼓ベンディール2人の演奏。タイのキックボクシングの音楽のようでもあり、これはカッコいい!!
そして、2曲目は、おもいっきり西アフリカの音楽のような打楽器音楽。でも実際にはニグロイドではなくコーカソイド系のベルベル人(北アフリカの先住民族)の群舞の伴奏らしく、小さな合せシンバルがずっと32分音符で基本のリズムを作りながら、他の太鼓や歌が4分音符でゆったりしてる感じ。このなんとも言えないグルーヴが気持ちいい。やっぱり、大有名な音楽以外にも、色んな音楽があるもんなんですねえ。
いやあ、3枚聴きましたが、1枚は
アラビア音楽、1枚はアラブ・アンダルース音楽、そしてこれはアラブ・アンダルース音楽を含めた色んなモロッコの音楽。けっこう違いました(^^;)。やっぱり、CD1枚だけでその国の音楽を理解した気にならない方がいいですね。個人的には、このCDが純粋に音楽として一番好きだったかな?モロッコの音楽を1枚だけ手にするにしても、色んな音楽が聴けるこれが一番いいかも。このシリーズ、昔はバラ売りしてたんですが、今はセットものでないと手に入れるのむずかしいのかな…。
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